米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は14日、経済情勢は「極めて良好」で労働市場の状況は底堅いとし、FRBは利下げを急ぐ必要はないという見解を示した。2022年6月撮影(2024年 ロイター/Sarah Silbiger)
[ダラス 14日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は14日、経済情勢は「極めて良好」で労働市場の状況は底堅いとし、FRBは利下げを急ぐ必要はないという見解を示した。
金融市場では、来年のFRBの利下げ回数が従来予想よりも少なくなるという見方が高まっており、これと一致する発言となる。
パウエル議長はダラス地区連銀のイベントで講演し、自身と他のFRB当局者は引き続きインフレが「2%に向けて持続可能な軌道に乗っており」、FRBは金融政策を「時間をかけてより中立的な環境」に移行させることが可能と考えていると述べた。
しかし、利下げペースは「事前に決まっていない」とし、「経済は、利下げを急ぐ必要があるというシグナルを発していない。現在、経済に見られる強さにより、われわれは慎重に決定を下すことができる」とした。
FRBは引き続きディスインフレのプロセスが継続することを見込んでいるが、住宅価格などの動向を注視しつつ警戒もしていると述べた。
パウエル議長は、インフレの主要な側面が「FRBの目標と整合する水準に近づいており、それが確実に達成されるよう注視している」とした上で、「インフレはわれわれの長期目標である2%にかなり近づいているが、まだそこには達していない」と述べた。
生産性の急上昇は「非常に好ましい」とし、時間当たりの労働生産性がトレンドを上回る伸びを継続できない理由は見当たらないと述べた。
パンデミック(世界的大流行)中に形成された新規事業の波や広範な労働者の配置、自動化の利用拡大などが軒並み生産性の改善トレンドに寄与したと指摘した。
トランプ次期大統領の政策による経済への影響について、パウエル議長は質疑応答で「実際の政策を確認するまで答えは明らかではない」とし、「憶測はしたくない。新政権の発足までまだ数カ月ある」と応じた。
しかし、トランプ氏が前回大統領に就任した約8年前と現在の経済状況は異なると指摘。当時は低インフレ、低成長、生産性も低水準だった。
パウエル議長は最近の移民の急増を例に挙げ、パンデミック後の労働力不足の時期に「経済の拡大をもたらした」と述べた。トランプ氏が確約している不法移民の大量強制送還について直接言及しなかったものの、「労働者が減れば仕事も減る」と述べた。