日本製鉄はUSスチールの労働組合メンバーに対し、米国外で生産された鉄鋼は米国内に持ち込まないと約束している。141億ドル(約2兆2000億円)でのUSスチール買収を成立させる取り組みの一環。

  日鉄の森高弘副会長兼副社長は18日、USスチール主要2拠点で働く全米鉄鋼労働組合(USW)の組合員に書簡を送付。米国市場には鉄鋼を輸出しないとの約束は、その中で強調した点の一つとなっている。労組指導部はこれまで、日鉄がいずれ米国内で鉄鋼を生産するよりも、米国外から持ち込んだ方がコストを抑制できると判断する恐れがあると指摘。日鉄の進出が米国の鉄鋼産業を脅かすと繰り返し主張してきた。

  同書簡の大部分は日鉄が昨年すでに表明した内容を繰り返したものだが、買収反対を唱えるUSWのデービッド・マッコール国際会長ら組合幹部への反論にもなっている。マッコール氏は先週、日鉄が労組組合員と会合を持つことの合法性に疑問を呈していた。

  森氏は書簡で「日本製鉄とUSスチールのパートナーシップについて、それがあなた方にとって何を意味するのか、多くの誤った情報が出ている」と指摘。「我々がここに来ているのは、マッコール会長が示唆したような交渉を行うためではなく、皆さんに情報を伝えるためだ。私はマッコール会長に会談を求めており、直近では11月11日に要請した。返事を待ちたい」と記した。

  森氏は今週、ピッツバーグの工場を訪問し、ニューヨークや首都ワシントンにも立ち寄る予定。書簡では、ピッツバーグでの労働組合代表との会談の申し出に対する返答はまだないが、話し合いのテーブルに着くことで同意が得られれば「迅速かつ誠実に」動く用意があるとしている。  

  マッコール氏からのコメントは現時点で得られていない。

原題:Nippon Steel Makes Anti-Import Vow to Win Over US Steel Workers(抜粋)

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