19日の米株式市場でS&P500種株価指数は続伸。地政学的ニュースに反応して、売り先行で始まったものの、ボラティリティーが高い中で持ち直した。20日に決算を発表するエヌビディアが上昇。ビットコインは選挙後の上げを拡大した。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 5916.98 | 23.36 | 0.40% |
ダウ工業株30種平均 | 43268.94 | -120.66 | -0.28% |
ナスダック総合指数 | 18987.47 | 195.66 | 1.04% |
ハイテク銘柄中心のナスダック100指数は0.7%高。大手ハイテク7社「マグニフィセント・セブン」の指数は1.7%上げた。
今回のエヌビディア決算は年内に残された最も重要なカタリストとなることが、オプション取引で示唆されているとバークレイズのストラテジストは指摘。12月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合よりも重要だという。エヌビディアは4.9%高となり、S&P500種の上げをけん引した。
朝方には、ウクライナが米国供給のミサイルで初めてロシアを攻撃した一方、ロシアのプーチン大統領は核ドクトリンの改定を承認し、核兵器の使用基準を緩和したと伝わったことから、相場は下げていた。
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パラス・キャピタル・アドバイザーズのガウラブ・マリク氏は、地政学的な不確実性は確かにボラティリティーを高める要因だと指摘。エヌビディアの決算については、強い数字を予想しているとし、大手ハイテク各社によるAI関連の設備投資や、同社のチップに置き換わる「明確な代替品がない」という点を理由に挙げた。
ラッファー・テングラー・インベストメンツのナンシー・テングラー氏は、「足元の市場は気まぐれだ」と指摘。「株式は最終的に決算を材料に取引される。決算はこれまでのところ好調だ。決算前の株買いは勧めないが、エヌビディアが売られたら、買うべきだ」と述べた。
個別企業ニュースではこの他、ウォルマートは通期の業績見通しを上方修正した。価値を求める消費者からの旺盛な需要が続いているというのが理由。
国債
米国債は上昇。ロシアとウクライナを巡る地政学的リスクの高まりが意識される中、安全資産とされる米国債が買われた。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
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米30年債利回り | 4.58% | -2.6 | -0.57% |
米10年債利回り | 4.39% | -2.0 | -0.44% |
米2年債利回り | 4.28% | 0.0 | 0.00% |
米東部時間 | 16時34分 |
10年債利回りは一時約8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し、4.34%を付けた。
ストラテガス・セキュリティーズの債券調査責任者、トーマス・ツィツォリス氏は「かなり典型的なリスク回避の動きだ。これに先立ち、バリュエーションが伸長し」、米国債は売られ過ぎの水準になっていたと指摘。「地政学的リスクは弱まっても、債券の上昇は続く余地がある」と述べた。
米国債は上げ幅を縮小する展開となったが、地政学的対立の激化に市場が影響を受けやすいことをこの日の値動きは示している。
22Vリサーチの共同創業者でチーフ市場ストラテジストのデニス・デブシェール氏は、「ボラティリティーが予想されるのは、米金融政策を巡る不透明感が主な理由だが、戦争の激化はそれを助長する」とリポートで指摘した。
トランプ次期大統領の政策が成長を押し上げ、インフレを再燃させるとの見方から、米国債は9月半ば以降、幅広く下落してきた。ここ1週間は、トランプ氏による次期米財務長官の指名に関心が移っている。
外為
外国為替市場で円の対ドル相場は上げを消す展開。ロシア関連のニュースを受けて、早い時間帯には一時0.9%高の1ドル=153円29銭まで買われる場面もあった。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
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ブルームバーグ・ドル指数 | 1278.44 | -1.89 | -0.15% |
ドル/円 | ¥154.67 | ¥0.01 | 0.01% |
ユーロ/ドル | $1.0597 | -$0.0001 | -0.01% |
米東部時間 | 16時34分 |
マネックスの外国為替トレーダー、ヘレン・ギブン氏は、「米政府がロシアの核ドクトリン改定に公式に反応しない方針を示唆したことから、トレーダーはこれを全面的なエスカレーションというよりも、むしろ戦争の新たな段階と見なし始めた」と指摘。「プーチン氏は核兵器使用の可能性をかなり以前からちらつかせている。そうした行動が取られる可能性はかなり低い」と述べた。
ブルームバーグ・ドル・スポット指数は3日続落。
米カンザスシティー連銀のシュミッド総裁はこの日、どの程度の利下げが必要かは不確実との認識をあらためて示した。シュミッド総裁は「金融政策の引き締めを緩和し始める時期ではあるが、金利がどこまで下がるか、最終的にどこで落ち着き得るかはまだ分からない」と述べた。
関連記事:カンザスシティー連銀総裁、どの程度の利下げ必要か不確実と再度指摘
カナダ・ドルは対米ドルで上昇。カナダのインフレ率が上振れしたことで、カナダ銀行(中央銀行)が10月に続き、12月にも2回連続で50bpの大幅利下げを行うとの見方が後退した。
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CIBCキャピタル・マーケッツの為替戦略責任者、サラ・イン氏は「これを受けて、米ドルは対カナダ・ドルで1米ドル=1.40カナダ・ドルを割り込んだ。大幅利下げの観測が後退したためだ」と指摘。その上で、「12月のカナダ中銀会合までにはまだ一連のデータが公表される」とし、「25か50の議論に決着をつけるのはまだやや時期尚早だ」と付け加えた。
原油
ニューヨーク原油相場は前日終値を挟んで上下に揺れた後、続伸で取引を終えた。ロシアの対ウクライナ戦争がエスカレートした一方、イランは核兵器級に近い高濃縮ウランの生産停止に同意した。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は乱高下の後、バレル当たり69ドル台に乗せて引けた。ウクライナとロシアの緊張激化をきっかけに相場は上昇したが、イランの高濃縮ウラン生産停止について伝わると失速した。
国際原子力機関(IAEA)はイランが核兵器級に近い高濃縮ウランの生産停止に同意したと明らかにした。最大圧力の制裁を回避したいイランの姿勢がうかがわれると、複数のトレーダーが指摘した。
地政学的な状況の変化は今年何度か原油価格を押し上げたが、中国での需要不安や世界的に供給が潤沢な状況を背景に、相場は依然としてやや軟調に推移している。WTI先物期近2限月の価格差であるプロンプトスプレッドは前日、9カ月ぶりに弱気示唆のコンタンゴ(順ざや)に転じた。短期的に供給が需要を上回る可能性を示した。
レバノンと親イラン民兵組織ヒズボラは、米国が提示したイスラエルとの停戦案受け入れに同意したとロイター通信がレバノン高官からの情報として報じた。米政府当局者は交渉がまだ継続中だとして警戒を促した。ノルウェーのエネルギー会社エクイノールは、北海のヨハン・スベルドラップ油田で産油能力の3分の2まで生産を回復させた。前日には生産を停止していた。
国際エネルギー機関(IEA)は来年の需給について、日量100万バレル余りの供給超過になる可能性を指摘。中国での需要悪化が続き、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成される「OPECプラス」が増産を再開した場合よりも大規模な影響が考えられるという。OPECプラスは12月1日の会合で、来年4月までは増産を先延ばしすることを決定するとHSBCはみている。キム・フュスティエ氏らアナリストがリポートで指摘した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物12月限は、前日比23セント(0.3%)高の1バレル=69.39ドルで終了。12月限はこの日が最終取引。ロンドンICEの北海ブレント1月限は1セント上昇の73.31ドル。
金
ニューヨーク金相場は続伸。地政学的リスク上昇が市場の焦点となっている。
米国はロシアの核ドクトリン改定に対応して核指針を調整する理由はないと、政府報道官は発言。投資家は地政学的および経済的先行きが不透明になると、金の安全性に逃避する傾向がある。
トランプ氏の当選後に上昇していたドルは、ここに来て失速。これも金の追い風になっている。連邦公開市場委員会(FOMC)が利下げペースを落とさざるを得ないとの見方も、ドルを圧迫している。
それでも短期的な金の見通しはネガティブだと、TDセキュリティーズのシニア・コモディティー・ストラテジスト、ダニエル・ガリ氏は指摘する。米利下げサイクルの見通しが「一変した」ため、マクロファンドの強気なポジションがかつての極端な水準に戻る可能性は低いという。
12月の次回FOMC会合を控えた当局者発言にも注目が集まる。金利の低下は通常、金にはプラスに作用する。
金スポット価格はニューヨーク時間午後3時42分現在、前日比20.82ドル(0.8%)高い1オンス=2632.65ドル。ニューヨーク商品取引所の金先物12月限は16.40ドル(0.6%)高の2631.00ドルで引けた。
原題:Stocks Shake Off War Angst Before Nvidia’s Results: Markets Wrap(抜粋)
Treasuries Gain on Haven-Asset Demand After Ukraine Hits Russia(抜粋)
Dollar Slips, as Aussie and Loonie Lead Advances: Inside G-10(抜粋)
Oil Edges Higher as Russia-Ukraine War, Iran Deal Roil Market(抜粋)
Gold Gains as Investors Seek Haven From Ukraine War Tensions(抜粋)