日本製鉄によるUSスチール買収計画を巡り、米共和党下院議員はバイデン政権に対し関連文書の保管を求めている。現在進められている国家安全保障審査に政治が影響を及ぼしたとの「重大な懸念」を表明し、議会による調査の可能性を提起した。

  4人の議員はイエレン財務長官とレモンド商務長官に宛てた22日付書簡で、対米外国投資委員会(CFIUS)に関連する最近の動きは「その意思決定プロセスの信頼性に疑問を投げ掛けるものだ」とし、買収計画に関連する記録の保存を要求した。

  書簡によると、議員らは「国家安全保障面の考慮を優先するというCFIUSの法的責務が政治的利益より下位に位置付けられてきたかどうかという広範な問題」が今回の件で提起されていると指摘した。

  その上で、関連文書について「今後監視する必要が出てきた時のために、完全な状態で確保できるようにしておく」べきだと表明した。署名した議員の一部は下院金融委員会のメンバー。ブルームバーグ・ニュースは書簡のコピーを入手した。

  米財務省はコメントを控えた。商務省にコメントを求めたがすぐに返答はなかった。

  2024年大統領選で焦点の一つとなったUSスチール買収計画を巡ってはバイデン氏が反対姿勢を示唆し、トランプ次期大統領が阻止する意向を表明している。だが、今回の書簡からは、政治的な論争が落ち着きそうにないことがうかがえる。

  トランプ氏が反対していることで同氏とバイデン氏がこの問題で政治的に同じ立場となり、買収計画阻止に向けたバイデン氏の取り組みから政治的得点を挙げたい共和党の試みが複雑化する可能性がある。

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原題:US Steel Review Targeted by Republicans for Potential Probe(抜粋)