資産家のイーロン・マスク氏は27日、米消費者金融保護局(CFPB)を廃止するよう呼びかけた。トランプ次期大統領の下で、長く共和党やビジネス擁護団体の標的となってきた同機関に対する新たな脅威が高まっている。

  マスク氏は「CFPBを廃止しろ。重複する規制機関が多すぎる」と自身が所有する✕(旧ツイッター)に投稿した。

  トランプ次期政権下で政府効率化省(DOGE)の責任者に抜擢されたマスク氏の発言だけに、注目度は高い。マスク氏は実業家仲間のビベック・ラマスワミ氏と共に、官僚機構の縮小や、政府支出の削減を目的としたこの新たな取り組みの責任者に選ばれた。

  CFPBの権限と存在そのものを巡るワシントンでの争いは長期化しているが、マスク氏の動きはそれが新たな段階に入ったことを示す。

  進歩的なウォーレン上院議員が発案したCFPBは、金融危機の再発防止を狙った金融規制改革法(ドッド・フランク法)の一部として2010年に創設され、金融業界の中でも消費者と接する部門を監督する機能を担った。だが発足以来、何度も法的な問題に直面し、政治的には不安定であり続けた。

  トランプ大統領は1期目の任期中、CFPBをほぼ無力化する措置をとり、銀行に対する取り締まりを緩和した。しかし続くバイデン大統領とチョプラ局長の下、同局は消費者向け金融に対して積極的な規制アプローチを取り、住宅の差し押さえや銀行の当座貸越手数料を取り締まった。

  米保守系シンクタンクのヘリテージ財団が主導した政策マニフェスト「プロジェクト2025」は、CFPBを「非常に政治的で、有害で、全く責任を負わない」と非難し、「CFPBの消費者保護機能を銀行規制当局と連邦取引委員会に戻す」と廃止を求めている。

  マスク氏はすでに、政権移行チームの会議や外国首脳との会談に同席するなど、次期政権に対する影響力を見せている。ただ、彼が率いる政府効率化省が連邦政府を縮小させる取り組みで、どれほどの力を発揮するかは不透明だ。

原題:Musk Calls for Abolishing Consumer Finance Agency: ‘Delete CFPB’(抜粋)