フランスのバルニエ首相は、2025年度予算案で争点の一つとなっていた電気料金への消費税引き上げを見送ると発表し、野党に大きく譲歩した。これに対し、マリーヌ・ルペン氏が実質的に率いる極右政党・国民連合(RN)は、さらなる要求を突きつけた。
中小企業の将来に関する講演をパリで行っていたバルニエ氏は28日、「全員に耳を傾け、その意見や優先事項を考慮した」と述べ、増税計画の撤回を表明した。
首相の譲歩について、RNのバルデラ党首は「勝利」だとX(旧ツイッター)で宣言。続けて、さらなる要求を打ち出し、「ここで止まるわけにはいかない。他のレッドラインがまだ残っている」と主張した。
バルデラ氏は首相に対し、薬剤費の払い戻し削減計画の撤回や、新税や増税の際の猶予期間の導入、中小企業向け競争力強化支援などを求め、移民や犯罪への対策の厳格化も訴えた。
「これらの措置は妥当かつ現実的で、国民の大多数が期待しており、速やかに適用できる」とバルデラ氏は論じ、「首相は無視を続けることはできない。残された時間はあと数日だ」と言い放った。
野党議員は予算案を巡り内閣不信任決議で結束する可能性をちらつかせており、政府は数週間内に倒れる恐れがある。左派は早ければ来週にもそのような決議案を提出するとしており、首相の命運はRNの手中にある。
政治不安を嫌気して投資家はフランス資産売りに走り、10年物国債利回りは28日の取引で一時的に初めてギリシャ国債と同水準になった。
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ただ、アルマン経済・財務相が首相の発表に先駆けて予算案で譲歩の用意があると発言した後、フランス債とドイツ債のスプレッドは一時4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)縮小し82bpとなった。27日には90bpまで拡大していた。
それでも、マクロン大統領が6月に議会の解散・総選挙を決定する前の50bp未満と比べると、極めて高い。
原題:Le Pen Makes More Budget Demands as Barnier Gives Ground (1)(抜粋)