28日の外国為替市場で、ブラジル・レアルが過去最安値に下落した。ブラジル株の指標は2023年5月以来以来の大幅安。ブラジル政府は120億ドル(約1兆8200億円)の公共支出削減策を提案したが、投資家は失望売りで反応した。
レアルは一時1.5%安の1ドル=6.02レアルに急落。ブラジル株の指標ボベスパ指数は2.4%下落し、23年5月2日以来の大幅安。
アダジ財務相は最低賃金の伸びを抑制し、公務員の高額給与を制限、月額5万レアルを超える所得に対する税率引き上げなどを含む措置を発表した。政府はまた、月5000レアルまで所得税の控除対象とすることも決めたが、支出削減パッケージの財政に対する影響を薄める措置だとしてトレーダーらの悲観を強めた。
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エドモン・ドゥ・ロスチャイルド・アセット・マネジメントのファンドマネジャー、パトリシア・ウルバノ氏は「ブラジル資産全体に、不確実性とリスク意識の高まりが見られる」と指摘。「現地資産は過去2日間で売り込まれており、不確実性のレベルを考えると、さらに下落する可能性がある」と述べた。
レアルは取引終盤に下げ幅を拡大した。アダジ財務相が、今後必要であれば歳出抑制のため追加措置を講じると発言した一方、ルラ大統領は、閣僚には新たな提案を練るのではなく、すでに打ち出している計画の完遂に集中してほしいと述べた。
財政赤字膨張への懸念が強まる中で、ブラジル資産は売り込まれている。ルラ大統領は2023年の就任以来、貧困層の生活水準を改善するという公約を果たそうと支出を拡大してきた。
原題:Brazil’s Real Hits All-Time Low as Spending Cuts Disappoint (3)、
Ibovespa Index Falls 2.4%; Itau Leads Decline(抜粋)