フランスのバルニエ首相は不人気の予算案の一部を採決なしで議会を通過させるため、憲法上の手段を行使した。だが議員らの反発は必至で、数日以内にも議会で内閣不信任が成立する恐れがある。
バルニエ氏は2日午後の国民議会(下院)で、採決なしで法案を議会通過させる憲法第49条3項を発動すると宣言した。これに対し左派政党が、まもなく不信任動議を提出すると発表。極右政党の国民連合(RN)のルペン氏も、不信任動議を支持すると表明した。
左派の不信任動議を議会内最大勢力のRNが支持すれば、不信任案は可決する可能性が極めて高い。
ルペン氏は「バルニエ氏は1100万人のRN支持者の要求に応えなかった。バルニエ氏は、皆が責任を負うべきと話しており、私たちも責任を全うするまでだ」と述べた。
政党間の駆け引きが続く中、2日のフランス国債は不安定な動きを続けた。フランスとドイツの10年債の利回り差(スプレッド)は、一時は大幅に縮小したものの、その後89ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)まで拡大した。フランス株式市場は、バルニエ氏がRNの主要要求に対する譲歩を発表した直後に一時急騰したが、その後下げに転じた。
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与党連合は下院で過半数議席を大きく下回るため、バルニエ氏が予算案可決のために49条3項を発動する可能性は高いとみられていた。ただ、フランスの財政にとってとりわけ危険な時期に政治混乱が発生した格好で、政府機関の閉鎖を回避するには年末までに予算を採択するか、徴税と最小限の支出を可能にする「特別法」による措置を取る必要がある。
野党側は、今後24時間以内に不信任動議を提出しなければならない。提出されれば、議会が48時間後以降に提案の審議を開始し、不信任投票はその後3日以内に行われる。
不信任案が可決された場合、閣僚は留任し、当面の業務を管理する暫定政府として、政府機関の閉鎖を回避するための緊急立法を含む業務を遂行することになる。マクロン大統領がその後、新首相を任命する。
原題:France’s Far Right Aims to Topple Government Over New Budget Law、French Government Nears Collapse as Le Pen Vows to Sink Barnier(抜粋)
▽バルニエ仏首相、ルペン氏に予算案で土壇場の譲歩<bloomberg日本語版>2024年12月2日 22:55 JST