Soo-Hyang Choi
- 最大野党は大統領と国防相、行政安全相の弾劾手続き進めると表明
- 与党は弾劾訴追案に反対、尹大統領は5日に演説-国防相は辞意
韓国の最大野党「共に民主党」を含む同国の野党6党は4日午後、「非常戒厳」の宣布で政治的混乱を招いた尹錫悦大統領の弾劾訴追案を国会に提出した。同案は数時間後の5日未明に本会議に報告された。
与党「国民の力」は野党と協力し尹大統領の戒厳令を否決したが、苦境に立たされた尹氏の弾劾訴追案には反対する方針を固めた。
これに先立ち、共に民主党は3日夜の非常戒厳の宣布を違法だとし、内乱罪で尹大統領の弾劾を目指す方針を示していた。採決のための本会議開催は6日以降になる可能性がある。
同党は、金龍顕国防相と李祥敏行政安全相についても内乱罪で告発し、弾劾手続きを進めると声明で明らかにした。金国防相は辞意を表明した。閣僚が総辞職を検討していると報じられる中で、与党幹部は午後に会合を開き、大統領はさらに孤立することになった。
尹大統領は5日に国民に向けて演説を行う構え。韓国のハンギョレ新聞は、尹大統領が自身の行動の結果について謝罪する可能性が高いと与党議員の話を匿名で伝えた。T
尹大統領の突然の非常戒厳宣布を受け、議員らは国会に集まり、戒厳令の解除を図った。大統領は解除を表明したものの、国民や与党からも怒りを買い、辞任を求める声が広がっている。
議員らは弾劾動議の採決を24時間以降、72時間以内に行う必要があり、週末にかかる可能性もある。可決には国会(定数300)の3分の2に当たる200人以上の議員の賛成が必要。
弾劾手続きが開始された場合、大統領はその間は職務が停止される。弾劾に関する最終的な判断は憲法裁判所が下す。YTNによると、国会は5日午前に戒厳令に関する公聴会を開催する予定。
大統領と国会の反目が深まる中、尹氏が3日夜に打って出た賭けは国民と与党、そして米国を含む同盟国に不意打ちとなった。また投資家の動揺を招き、韓国当局は金融・外国為替市場を安定させるためあらゆる可能な措置を取ると表明した。
韓国軍合同参謀本部議長は、国民を守る役割を軍は優先すると述べたと聯合は伝えた。この発言は今後、政治的混乱が生じた際に軍が直接関与しないことを示唆している可能性がある。
調査会社TSロンバードのエコノミスト、ローリー・グリーン氏は「尹大統領は弾劾に直面するだろう」とし、恐らく2025年4-6月(第2四半期)の早い時期に大統領選挙が行われ、野党の共に民主党が「本命視」されると指摘した。
4日の韓国市場では韓国総合株価指数が下落。2.3%安となる場面もあったが、1.4%安で引けた。前日のニューヨーク市場で対ドルで大きく下げた韓国ウォンは一時1.6%上昇と、2カ月強ぶりの大幅高となった。
経済への影響、大きくない
韓国銀行(中央銀行)の李昌鏞総裁は4日、ブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じ、非常戒厳による政治的混乱が経済に与える影響は大きくないとして、利下げを行う可能性は低いと述べた。
李氏は「今回の政治的事象は非常に短期間のもので、現時点で経済の見通しを変更しなければならない理由はない」との見方を示した。また「韓国には成熟した民主主義や市場のしっかりした基盤があり、経済的な動きは、政治的力学と切り離して考えられる」と強調した。
政治的亀裂が深まる中、尹大統領(63)は3日、政権をまひさせようとする野党の動きを阻止し、自由と憲法秩序を守るとして非常戒厳を宣布した。4日未明、戒厳令に抗議する市民が国会議事堂周辺に集結する中、出席した国会議員190人全員が非常戒厳の解除に賛成票を投じた。
ソウル時間午前4時(日本時間同じ)過ぎ、尹大統領はテレビ演説で「国会の要求を受け入れ、閣議で戒厳令を解除する」と述べた。その後、閣議で非常戒厳の解除が承認された。
原題:South Korea’s Opposition Isolates Yoon With Impeachment Bid (1)、 South Korea’s Opposition Submits Impeachment Motion Against Yoon、BOK’s Rhee Dismisses Chance of Rate Cut After Yoon’s Shock Move(抜粋)