▽韓国大統領を検察が捜査開始、与党は「秩序ある退陣」を準備<bloomberg日本語版>2024年12月8日 12:59 JST
韓国の尹錫悦大統領は7日の弾劾訴追案を辛くも切り抜けたが、政治危機は強まる一方だ。検察は「非常戒厳」を巡り同大統領に対して捜査を開始し、金龍顕前国防相を緊急逮捕したと明らかにした。
聯合によると、朴世鉉ソウル高検検事長が複数の告発状を受領したとして、捜査着手を発表した。大統領側は今のところコメントしていない。ソウル高検の検事長室も現時点でコメントに応じていない。
検事出身で朴槿恵元大統領の地位乱用事件を追及して名を上げた尹氏にとって、検察の捜査開始は劇的な展開となる。朴氏は最終的に弾劾、収監された。
尹氏による非常戒厳宣布の余波は8日も続き、李祥敏行政安全相が混乱の責任を取り辞任した。
与党「国民の力」の韓東勲代表は8日、尹氏の秩序ある退陣計画を党として準備しつつ、その間は韓悳洙首相が国政のかじ取りを担うと発表し、事態を落ち着かせようとした。
同代表は韓首相との会談後、「大統領は退陣までの間、外交を含む国政には一切関与しない」と述べた。
一方、韓首相は「政府は同盟国の信頼を維持するために最善を尽くす」とし、「安全保障面での米国および日本との強い結び付きを継続することが非常に重要であり、強固な米韓の同盟関係を維持する」と表明した。また、「政府予算案と関連法案の承認が、通常の国政運営の鍵となる」と付け加えた。
これに対して議会で過半数を占める野党は、韓首相が大統領の役割を掌握する与党案は「憲法違反であり、無政府状態をもたらす」と非難した。
また、検察が金龍顕前国防相を逮捕し、警察が同氏の事務所を捜索したと、聯合ニュースが検察と警察庁を引用して伝えた。野党が内乱罪で金氏と尹錫悦大統領に対する弾劾訴追案を提出した後、同氏は国防相を辞任していた。金氏は捜査に協力するため検察に出頭しており、同氏の携帯電話などが押収されたという。
国会は7日に尹大統領に対する弾劾訴追案の採決を実施したが、与党議員の大半がボイコットしたため成立しなかった。最大野党「共に民主党」は同日、速やかに弾劾訴追案の再提出を目指す意向を示した。
原題:South Korea Crisis Deepens as Yoon Faces Probe Over Martial Law (抜粋)
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