Rheaa Rao、Andre Janse Van Vuuren
- S&P500種上昇、ナスダック100は過去最高値-ビットコイン新記録
- 原油は反落、中国統計で需要不安が再燃-米利下げ観測で金は反発
外為
16日の外国為替市場では円が下落。1ドル=154円台に下げ、約3週間ぶりの安値を更新した。ブルームバーグ・ドル指数は小幅下落。米経済統計でサービス業の景況が拡大した一方、製造業の低迷悪化が示された。カナダ・ドルはフリーランド財務相の内閣ポスト辞任を受けて下げたが、後に値を戻した。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1288.54 | -0.29 | -0.02% |
ドル/円 | ¥154.20 | ¥0.55 | 0.36% |
ユーロ/ドル | $1.0510 | $0.0009 | 0.09% |
米東部時間 | 16時34分 |
ドルは対円で154円台に乗せ、一時は0.5%高の154円48銭を付けた。対円での上昇は6営業日連続。米国で来年の利下げペースを減速するリスクが意識される一方、日本銀行は今週の金融政策決定会合で利上げを見送るとの観測が強く、円売り・ドル買いが優勢になっている。
1週間物リスクリバーサルは123bpのプットオーバー。13日は107bpだった。
マーク・マコーミック氏らTDセキュリティーズのストラテジストは「物価統計や短観はどれも、日本銀行が今週利上げに動くべきだと示唆しているが、賃金に関する情報がもっと得られる1月まで時間を稼ぐ可能性がある」と分析した。
ブルームバーグ・ドル指数は一時上昇していたが、0.1%未満の下げとなった。
金利スワップ市場は18日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合での25bp利下げをほぼ100%織り込んでいる。
12月の米製造業購買担当者指数(PMI)は48.3に低下。サービス業PMIは58.5に上昇した。FOMC前のブラックアウト期間にあり、当局者らは発言を控えている。
関連記事:トランプ氏勝利で加速したドル高、来年後半に現実直視か-先安観浮上
ドイツ連邦議会はショルツ首相に対する信任投票を行い、不信任が信任を上回った。本来の予定より7カ月早い来年2月に、国政選挙を行う舞台が整った。
フランス銀行(中央銀行)は、来年と再来年の経済成長見通しを引き下げた。マクロン大統領は数日前に1年で4人目の首相を指名したばかりだが、中銀は政治的な混乱が家計や企業の信頼感を圧迫していると指摘した。
米国株
米国株式相場は総じて上昇。世界の主要中銀が今週相次いで発表する政策決定を控え、市場は身構えている。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 6074.08 | 22.99 | 0.38% |
ダウ工業株30種平均 | 43717.48 | -110.58 | -0.25% |
ナスダック総合指数 | 20173.89 | 247.17 | 1.24% |
S&P500種株価指数は小幅高。ナスダック100指数は1.5%上げて、過去最高値を更新した。ビットコインも記録更新となった。
米市場のセンチメントは比較的穏やか。18日に予想されている25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げが新たな支援材料となり、株式相場の好調をさらに長期化するとみられている。
モルガン・スタンレー傘下Eトレード・ファイナンシャルのクリス・ラーキン氏は米市場について「目先のモメンタムはパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長による政策発表後の発言次第となるだろう。小売売上高もしくは個人消費支出(PCE)価格指数が市場の意表を突くかどうかにも左右される」と述べた。
これまでの記録に基づくと、12月の株式相場上昇はその大半が月後半に起きる傾向があると、ラーキン氏は指摘した。
この日発表された経済統計では、12月の米サービス業購買担当者指数(PMI)が2021年10月以来の高水準となった。一方で12月のニューヨーク連銀製造業景況指数は2023年5月以来となる大幅な低下となった。
最大の焦点は18日のFOMC結果発表だ。翌日には日本銀行とノルウェー中銀、イングランド銀行(英中銀)が続く。ブラックロックのグローバル最高投資責任者(CIO)、トニー・デスピリト氏はFOMCの結果が「タカ派的な利下げ」となっても、米経済の基調的な強さがその理由であるため、米国株の上昇相場が継続し、買いが広がることはあり得ると、ブルームバーグテレビジョンで述べた。
米国債
米国債相場はほぼ変わらず。午前の上げ幅を縮小する展開だった。オプション取引ではアップサイドのプロテクションに需要が見られるようになった一方、フェデラルファンド(FF)金利先物市場では18日の政策決定を前にした買いの流れが大きくなっている。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.61% | 0.4 | 0.08% |
米10年債利回り | 4.40% | 0.4 | 0.09% |
米2年債利回り | 4.25% | 0.6 | 0.15% |
米東部時間 | 16時35分 |
先週の債券売りを受けて、ジャバズ・マタイ氏らシティのストラテジストは12月20日期限の10年債オプション購入を推奨している。FOMCの週を強気な姿勢で迎えることを勧めた。
シティのストラテジストによれば、今週の米国債市場は上げ方向にリスクが傾斜している。先週の売り浴びせがこの見通しを補強している。今年のFOMCは概して強気だったとし「FOMCのガイダンスも記者会見も恐れていたほどタカ派的ではなかった」と指摘した。
金利予測分布図(ドットプロット)で来年の利下げ幅が50bpに縮小されたとしても、「市場の織り込み具合となお一致する」という。
原油
ニューヨーク原油先物は反落。中国で発表された各経済統計を受け、世界最大の原油輸入国である同国での需要減退懸念が強まった。
中国では11月の原油処理量が5カ月ぶり低水準となり、同月の小売売上高は予想外の減速となった。
関連記事:中国の小売売上高、予想外の減速-内需喚起に向けた対策急務
CIBCプライベート・ウェルス・グループのシニア・エネルギー・トレーダー、レベッカ・バビン氏は、これらデータは「原油相場がいかに簡単に崩れやすいかを浮き彫りにしている」と指摘した。年末に向かう中、今週は不安定な相場になると市場参加者は予想している。
原油相場は10月中旬以降、およそ6ドルのレンジで推移している。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成するOPECプラスは供給拡大を再び先送りしたが、中国の需要見通しの暗さが相場の重しとなっている。
ブラジルの業界団体である石油・ガス研究院(IBP)はこの日、国内産油量が来年は日量360万バレルに増加するとの見通しを示した。非OPEC産油国からの供給が来年の供給過剰を助長するとの懸念も根強い。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物1月限は、前営業日比58セント(0.8%)安の1バレル=70.71ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント2月限は58セント(0.8%)安の73.91ドルで引けた。
金
金スポット価格は反発。FOMC政策発表を18日に控え、追加利下げの可能性が意識された。金利の低下は通常、利子を生まない金にとっては追い風となる。
市場では、17-18日に開催されるFOMC会合では0.25ポイントの利下げが見込まれており、スワップ市場は今後1年間で計0.75ポイントの利下げを織り込んでいる。
金スポット価格は年初来で約29%上昇しており、年間ベースで2010年以来の大幅高に向かっている。その背景には、米利下げや地政学的リスクの高まりによる逃避需要、各国・地域中銀の持続的な買いがある。
金スポット価格はニューヨーク時間午後2時現在、前営業日比7.42ドル(0.3%)高の1オンス=2655.65ドル。ニューヨーク商品取引所の金先物2月限は同5.80ドル(0.2%)下落し、2670ドルで引けた。
原題:US Stocks Close Higher With Fed Rate-Cut Expected: Markets Wrap(抜粋)
原題:Dollar Slips After Mixed PMI Data, Loonie Rebounds: Inside G-10(抜粋)
原題:Treasuries Unwind Early Gains With Momentum From Futures Blocks(抜粋)
原題:CORRECT: Citi Recommends Bullish Treasury Options Structure(抜粋)
原題:Oil Slips as Lackluster Chinese Data Weakens Outlook for Demand
原題:Gold Edges Higher as Traders Assess Fed’s Rate-Cuts Outlook(抜粋)