Rita Nazareth
- S&P500種、日中は軟調な展開続くも終盤に上げに転じる
- ドル指数5日続伸、強い雇用統計で米利回り上昇-原油3日続伸
13日の米株式市場ではS&P500種株価指数が小幅反発。米利下げに対する市場の見方が調整され、日中は総じて軟調な展開となったが、押し目買いが入り上げに転じた。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 5836.22 | 9.18 | 0.16% |
ダウ工業株30種平均 | 42297.12 | 358.67 | 0.86% |
ナスダック総合指数 | 19088.10 | -73.53 | -0.38% |
S&P500種では約380銘柄が上昇。指数は一時1%近い下げとなる場面もあった。原油の値上がりを背景にエネルギー銘柄が上昇したほか、決算シーズンを控え銀行も買われた。一方でエヌビディアやアップルといった大型ハイテク銘柄は下落。大型ハイテク7強「マグニフィセント・セブン」に連動するブルームバーグの指数は0.4%下げた。
モルガン・スタンレー傘下Eトレード・ファイナンシャルのクリス・ラーキン氏は、「今週のインフレデータが予想を下回ったとしても、米連邦公開市場委員会(FOMC)が今月の会合で追加利下げに動くことはないが、弱気の勢いをある程度和らげる可能性はある。また決算シーズンが堅調なスタートを切れば、それもモメンタムにプラスとなり得る」と述べた。
リソルツ・ウェルス・マネジメントのキャリー・コックス氏は、アナリストは「ものすごい勢いで」利益予想を引き下げているが、その引き下げ度合いは尋常ではなく、今後数週間に行われる発表を受けて市場は安定する可能性があると分析した。
「どちらかと言えば、決算はこれまでの道のりを思い起こさせる存在だ」とした上で、「経済を巡る環境が現在いかに前向きなものか認識しておくのは極めて重要だ。期待値が高かったことから相場は失速しているが、基盤はしっかりしていることから、この押し目は多くの買い手を引き付ける可能性がある」と述べた。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のジーナ・マーティン・アダムズ、ウェンディ・スーン両氏は「アナリストによる利益予想の急速な下方修正は行き過ぎだった可能性がある。われわれのガイダンスモデルでは、第4四半期決算は市場予想を容易に上回り得ることが示唆されている」と記した。
オプションのトレーダーは、歴史的に見ても特にボラティリティーの大きい決算期の到来に備えている。S&P500種の個別銘柄は決算発表後に上下いずれかの方向に平均4.7%動くと予想されており、バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストによると、これは決算発表日の動きとしては過去最大となる。
米国株・クオンツ戦略責任者のサビタ・スブラマニアン氏は13日付のリポートで「この決算シーズは、再びストックピッカーのパラダイスになるだろう」と記した。
今週は金融セクターの決算発表が本格化する。JPモルガン・チェースやウェルズ・ファーゴといった銀行は、トレーディングと投資銀行での好調が引き続き示され、預金増加と低調な融資需要に伴う純金利収入の減少を一部相殺すると見込まれている。
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国債
米国債は下落。10年債利回りは一時4.8%を上回った。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.97% | 2.0 | 0.41% |
米10年債利回り | 4.79% | 2.9 | 0.61% |
米2年債利回り | 4.39% | 0.8 | 0.19% |
米東部時間 | 16時46分 |
底堅い労働市場と堅調な経済を背景に、米国では2024年12月も基調的なインフレの根強さが続いたとみられ、追加利下げに対するFOMCの慎重なアプローチを裏付けそうだ。
ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査の中央値では、12月の米消費者物価指数(CPI)は食品とエネルギーを除くコアが前月比0.3%上昇と予想されている。コアは11月まで4カ月連続で0.3%上昇だった。12月は前年同月比では3.3%と、その前の3カ月間と同率の伸びとなる見通しだ。
FHNファイナンシャルのウィル・コンパノル氏は「データを受けて米国債は売られ過ぎの状態になっている」と分析。「債券市場の織り込みを見ると、投資家は労働市場への確信が強過ぎるほか、インフレ見通しを過度に悲観しているようだ。債券利回りの上昇トレンドを止めるような材料は、きょうやあすには出てこないかもしれないが、15日発表のコアCPIが前月比0.2%上昇となれば、債券強気筋が市場のセンチメントに衝撃を与えるだろう」と述べた。
為替
外国為替市場ではブルームバーグ・ドル指数が上昇し、5営業日続伸となった。10日発表された米雇用統計が強い内容となり、米国債利回りが上昇したことが手掛かり。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1319.87 | 0.76 | 0.06% |
ドル/円 | ¥157.54 | -¥0.19 | -0.12% |
ユーロ/ドル | $1.0229 | -$0.0015 | -0.15% |
米東部時間 | 16時47分 |
レフテリス・ファルマキス、テミストクリス・フィオタキス両氏らバークレイズの為替ストラテジストは、「ドルは新たな水準付近で値固めに入っている。貿易リスクを背景に、ドルを巡るセンチメントはしばらくの間かなり強気を維持する可能性がある」と分析した。
円は対ドルで小幅高。一時0.5%高の156円92銭を付ける場面もあった。日本時間14日午前10時半から日銀の氷見野良三副総裁が講演を行う。
原油
ニューヨーク原油先物相場は3日続伸。5カ月ぶりの高値をつけ、1バレル=79ドル近くで終えた。米国がロシアのエネルギー産業に対する新たな制裁を発動したことで、世界有数の産油国からの供給が滞る恐れが生じ、買いが続いた。
米国は先週、ロシアの石油産業に対して、新たな包括的制裁を導入。大手輸出業者や保険会社、150隻余りのタンカーを対象とした。欧州連合(EU)加盟国の一部はこれに追随し、天然ガスに対するさらなる制限を導入し、石油の価格上限の施行を強化する意向だ。
関連記事:バイデン政権、ロシア石油業界に包括的な新制裁-取引の締め付け強化
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物期近2限月のスプレッドは、昨年8月以来の大幅な逆ざやになっており、短期的な強気の兆候を示している。フロリダ州の会員制高級リゾート「マールアラーゴ」でトランプ次期米大統領と会談したカナダ・アルバータ州のダニエル・スミス首相の発言も、価格を押し上げた。同首相は、トランプ氏が来週大統領に就任すれば、カナダ産石油に対する例外なしの25%の関税に備えるべきだと述べた。米国の原油輸入の半分余りはカナダからであり、その大半はアルバータ州からだ。
トランプ氏が就任する直前に発動された新たな制裁により、インドと中国に注目が集まっており、精製業者は代替供給源を模索せざるを得なくなる可能性がある。インドは2022年のロシアによるウクライナ侵攻後、ロシア産原油の重要な輸入国となっており、中国は世界最大の石油輸入国だ。
マルタイン・ラッツ氏らモルガン・スタンレーのアナリストは「米国によるロシアの石油産業に対する新たな制裁は予想以上に踏み込んだものだった」と記述。「これらの措置を消化するには時間がかかるが、少なくとも一定期間は石油供給の下方リスクが生じるだろう」と述べた。
中国では、山東省の独立系製油業者が、ペナルティーが発表された際に原油の受け取りが可能かどうかを検討するために緊急会議を開いたと、トレーダーが明らかにした。インドでは、製油所の関係者が、最大6カ月間続く大混乱に備えていると述べた。また、インドは米国が制裁を科したタンカーの入港を拒否する計画だ。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物2月限は、前営業日比2.25ドル(2.9%)高い1バレル=78.82ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント3月限は1.6%上昇の81.01ドル。
金
ニューヨーク金相場は反落。米利下げ見通しが見直される中、世界的な債券利回り上昇とドル高を背景に売りが優勢になった。
米10年債利回りは14カ月ぶりの高水準を付けた。ドル指数は5営業日続伸。金は金利を生まず、ドル建てで取引されているため、利回りとドルの上昇はいずれも金への投資妙味を弱める。
ペッパーストーンの調査責任者、クリス・ウェストン氏はリポートで、ドナルド・トランプ氏がホワイトハウスに復帰する前に、投資家はさらなる変動を覚悟していると指摘。先週、予想を上回る好調な経済指標が相次いだため、株式リスクを縮小し、ドルや金などの安全資産を選好する動きになったと述べた。
金スポット価格はニューヨーク時間午後1時37分現在、前営業日比28.46ドル(1.1%)安い1オンス=2661.30ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は36.40ドル(1.3%)下げて2678.60ドルで引けた。
原題:Stock Buyers Step In to Fuel Wall Street Gains: Markets Wrap(抜粋)
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