Shawn Donnan、Joe Deaux、Eric Martin

  • 米国際開発金融公社の活用を計画、ウォール街の資金呼び込み狙う
  • グリーンランドやパナマへの影響力拡大狙うトランプ氏の野望後押し

トランプ次期米大統領が掲げる「最も偉大な政府系ファンド(SWF)」創設計画を巡り、米国際開発金融公社(DFC)を活用する案がアドバイザーの間で浮上している。ウォール街から巨額の資金を呼び込めるとの期待が背景にある。

関連記事:トランプ氏、法人税率15%への引き下げ公約-ハリス氏との違い強調

  デンマークの自治領グリーンランドやパナマに対する米国の影響力を高めたいトランプ氏の野望を、投資によって実現させることも協議されているという。

  アドバイザーらはDFCについて、米国の対外支援のあり方について変革するツールになり得るとみているほか、データセンターといった戦略的プロジェクトへの投資手段になると考えている。バイデン政権下で開始された重要鉱物やその他の資源のサプライチェーン確保にも寄与する見通しだ。

  DFCがより強力な存在になり得るとの想定から、同組織のトップの座を巡る争いも始まっている。このプロセスに詳しい関係者が明らかにした。

  候補者には、ブリッジウォーター・アソシエイツの元最高経営責任者(CEO)や元共和党下院議員などが上がっているという。関係者によると、すでにトランプ氏のフロリダ州パームビーチの私邸で面接が行われている。

  元当局者や政権移行チームの関係者、DFCトップの候補者によると、トランプ次期政権は米国の経済力を行使する上で、DFCがより効果的な手段となることを望んでいる。ブラックロックのような有力な機関投資家のマネーを呼び込み、戦略的に重要な地域に投資を行うことで、影響力をさらに強めることができるとみられている。

  DFCを政府系ファンド、および米国の対外援助へのアプローチを根本的に変えるツールとして活用する議論を主導しているのは、イーロン・マスク氏と、サーベラス・キャピタル・マネジメントの共同創設者で、トランプ氏が国防副長官に指名した富豪のスティーブン・フェインバーグ氏であると、政権移行チームに近い関係者は話している。

関連記事:米国防副長官に資産家のファインバーグ氏、トランプ氏が指名

  マスク氏はコメントの要請に応じなかった。サーベラスの広報担当者はコメントを控えた。

  トランプ氏の政権移行チームもコメントの要請に応じていない。

  DFCは第1次トランプ政権時代に議会によって創設された。中国による広域経済圏構想「一帯一路」やその他の途上国への影響力拡大の取り組みに対抗する手段として誕生した経緯がある。

原題:Trump Team Has Wealth-Fund Ambitions for Small Lending Agency(抜粋)