マスク氏には自らの判断で政府の支払いを止める権限ない－トランプ氏＜bloomberg日本語版＞2025年2月4日 11:07 JST

Jenny Leonard、Gregory Korte

トランプ米大統領はイーロン・マスク氏について、財務省システムへのアクセスを通じて連邦政府の支払いを事前に監視できるが、承認なしに自らの判断で支払いを停止する権限はないと述べた。

　　トランプ氏は３日、ホワイトハウスの大統領執務室で記者団に、「イーロンはわれわれの承認なしには何もできないし、しないだろう」と発言。「私の承認を得てないものがあったなら、すぐに知らせるつもりだ」と付け加えた。

　　トランプ政権の新組織「政府効率化省（ＤＯＧＥ）」を率いるマスク氏は、財務省の決済処理システムの統括責任者だったデービッド・レブリック氏が先週辞任した後、同システムへのアクセス権を得た。このシステムでは納税者や雇用者、行政サービス受給者、請負業者に関する機密情報などにアクセス可能だ。

　　ホワイトハウスはこの日、マスク氏の立場について特別公務員（ＳＧＥ）と確認した。ＳＧＥは通常は任期が限定されている。ＤＯＧＥ創設を命じた大統領令は任務終了日を2026年７月４日としている。

　　ホワイトハウスのリービット報道官は「イーロン・マスク氏は特別公務員としてトランプ政権に無私無欲で奉仕しており、全ての関連連邦法規を順守している」と声明で述べた。

　　マスク氏は利益相反を禁じる法の対象となるが、財務開示や保有資産の処分は義務付けられない。マスク氏に関する利益相反法規の執行を担うのは同氏の上司であるワイルズ大統領首席補佐官となる。

　　マスク氏は先週末、「汚職と無駄遣いをリアルタイムで根絶している」とＸ（旧ツイッター）に投稿し、連邦政府の不適切な支払いを「速やかに停止」していると明らかにした。

　　マスク氏の批判者らは、連邦政府と契約を結び、政府プログラムの恩恵を受けているテスラやスペースＸを率いるマスク氏がＤＯＧＥのトップを務めることは利益相反だと主張している。

　　トランプ氏はマスク氏について、「われわれが利益相反や問題があると考える場合、彼を近づけさせない。しかし、彼は非常に優れたアイデアを持っている」と語った。

　　財務省当局者は、決済処理システムの役割は連邦政府の小切手帳であり、支払いを承認するかどうかの判断は個々の機関が予算に基づいて下すものだとの見解を示してきた。