- 対中関税は10%追加、不確実性大きいと日銀総裁、米GDP堅調
- トランプ氏の取り組みに米消費者は冷ややか、ECBなお「抑制的」
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対中10%上乗せ
トランプ米大統領は、カナダとメキシコに対する関税に関して3月4日に発動すると述べた。中国に対しても同日に追加で10%の関税を課すとした。トランプ氏は今月3日、カナダとメキシコが新たな国境警備対策を発表したことを受けて、両国に対する関税の発動を1カ月先延ばししていた。両国に対する25%の関税は、カナダからのエネルギー製品(10%の関税対象)を除き、輸入品すべてに適用される。トランプ氏は2期目就任後、中国に対しては総じて慎重な対応を取っていたが、今回の関税上乗せで、両国間の緊張が高まる可能性がある。
不確実性大きい
日銀の植田和男総裁は、関税を含めた米政府の政策や日本の対応などについて「まだ不確実なところが非常に大きい、多いと認識」していると述べた。ケープタウンで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議の終了後に記者会見した。トランプ政権には他の重要政策もあり、そうした新しい展開を総合的に考えた上で、「世界経済やマーケットへの影響、それを通じた日本経済、日本の物価見通しへの影響」を考えて最終的に日本の金融政策の判断につなげるとし、これまでと同じ姿勢だと述べた。また、長期金利が急上昇する例外的状況では、機動的なオペを打つと再表明した。
米経済の足取り
昨年10-12月(第4四半期)の米実質国内総生産(GDP)改定値は前期比年率2.3%増と、経済が健全なペースで拡大したことが示された。個人消費支出(PCE)コア価格指数は2.7%上昇と、速報値から上方修正。サービスコストの上昇が大きく影響した。先週の新規失業保険申請件数は24万2000件に増加し、今年に入って最高水準となった。企業や連邦政府機関で人員削減の発表が増えていることを反映した。首都ワシントンでは失業保険申請件数は年初から増加傾向が続いており、先週は2023年3月以来の高水準となった。
反発招くリスク
トランプ米大統領は輸入品に新たな関税を課し、製造業者に米国への生産移転を迫るという取り組みを進めているが、それに対し、米消費者からは冷ややかな反応が示されている。ブルームバーグ・ニュースの委託でハリス・ポールが実施した世論調査によると、米成人の約60%は、トランプ関税が物価上昇につながると予想。約44%は関税が米経済に悪影響を及ぼすと回答している。共和党支持者の間でも、トランプ氏の貿易政策には懐疑的な見方が多い。関税が経済的利益をもたらすとの回答は共和党支持者の約半分にとどまった。
なお景気抑制的
欧州中央銀行(ECB)の政策当局者は、現状の金融政策設定を景気に「抑制的」と形容し続けることに対し、自信を示していた。1月29-30日の政策委員会会合の議事要旨から分かった。議事要旨では「現在の中銀預金金利でも、金融政策は依然として景気抑制的であるとの評価が比較的妥当との認識が広くあった」としている。3月6日の次回政策委員会会合では、前回会合に続き、政策金利を2.75%から2.5%に引き下げる見通しだ。
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