安定的な皇位継承や皇族数の確保策を巡り、衆参両院の正副議長と各党・会派の代表者らが参加する与野党協議が10日、衆院議長公邸で開かれ、養子縁組による旧宮家の男系男子の皇族復帰案について自由討議を行った。各党の意見は割れており、集約の見通しは立っていない。安定的な皇位継承に関する与野党協議に臨む衆参両院の正副議長や各党・会派の代表者(10日午後、衆院議長公邸で)=須藤菜々子撮影
復帰案について、自民党は「皇族数確保、安定的な皇位継承のために必要な方策だ」と賛同し、公明、日本維新の会、国民民主の各党も妥当との立場を示した。これに対し、共産党は「女性天皇を否定するものだ」と復帰案を批判し、社民党も反対した。
立憲民主党は賛否を明確にしなかったが、「対象者の意思が確認できていない」と慎重で、旧宮家のみが皇族になれる案は、憲法14条が定める「法の下の平等」に反する門地による差別だとも主張した。内閣法制局は「法律で養子の範囲を適切に定める限り、憲法上の問題は発生しない」と説明。政府の担当者は、当事者の意思確認は、制度創設後にしか行えないとの見解を示した。養子縁組による旧宮家の男系男子の皇族復帰案を巡る主な各党の立場
協議では、主要各党が従来の立場を表明したが、歩み寄りの案は議論されなかった。今後の進め方は衆参両院の正副議長で検討するが、協議に出席した立民の野田代表は「新しい段階に入ったという感じはしなかった。まだまだ議論が必要だ」と記者団に語った。
一方、衆参両院は、2月17日に開かれた前回協議の議事録を3月6日付で公表した。協議は「女性皇族の婚姻後の配偶者と子どもの身分」を議題として行われた。議事録によると、政府側は、女性皇族の家族が皇族の身分を持たない場合でも、出張の同行に伴う旅費支給や仕事を休む際の「費用弁償」が可能だとしたほか、行動を共にする家族として皇宮警察の警備対象になると説明した。