▽春闘、電機や自動車で「満額」や「大幅増」の回答相次ぐ…中小企業へ波及するか注目
2025年春闘は12日、電機や自動車などの大手企業が労働組合の要求に答える集中回答日を迎えた。物価高に負けない賃上げの定着が今回の焦点だが、24年春闘並みの労組側の要求に対し、満額や大幅増の回答を示す企業が相次いでいる。今後は大手企業の賃上げが中小企業へ波及するかが注目される。ホワイトボードに書き込まれる金属労協加盟各社の回答状況(12日午前11時7分、東京都中央区で)=早坂洋祐撮影
三菱ケミカルは、基本給を底上げするベースアップ(ベア)について、1万8415円(賃上げ率は4・8%)で回答した。労組側が要求した月額1万5346円(4%)を上回った。直近の2年間も満額回答だったが、会社側は人材獲得競争を優位に進めるため、一段の賃上げが必要と判断した。JFEスチールと三菱重工業は、両社とも1万5000円の満額で回答した。
電機大手の労組は、ベア1万7000円を統一で要求した。日立製作所とNECは満額、三菱電機は1万5000円で回答した。いずれも前年の1万3000円を上回る。デジタル化やAI(人工知能)の普及が追い風で、堅調だった業績を反映した。主要企業の回答状況
自動車大手では、トヨタ自動車が賃上げと一時金ともに満額で回答した。組合側は、職種や賃金等級に応じ、総額9950~2万4450円の賃上げを求めていた。一方、業績が悪化している日産自動車は、前年と同じ1万8000円の要求に対し、1万6500円の回答にとどまった。
流通業でもこれまでに、高水準の回答が相次いでいる。スーパー「イオン」などを展開するイオンリテールは、パート従業員の時給について、81円の賃上げで妥結した。満額回答で、引き上げ幅は3年連続で7%超となる。
過去2年の春闘では、高水準の賃上げが実現した。25年春闘では、労使双方が賃上げの定着を訴えており、満額や大幅増の回答が相次ぐ状況は、賃上げの定着の裏付けとなる。今後は働き手の約7割を抱える中小企業の労使交渉が本格化する。
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