▽GPIF株式比率の引き上げ見送り報道、日本株への影響限定との見方<bloomberg日本語版>2025年3月12日 8:48 JST

佐野七緒、佐野日出之

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が現在の基本ポートフォリオを維持する方針を固めたとの報道を受け、株式市場への影響は多少の失望売りが見込まれるものの、影響は限定的との見方が関係者から出ている。

  日本経済新聞(電子版)は11日夜、GPIFが国内外の株式と債券に25%ずつ配分する資産運用の大枠である基本ポートフォリオを2025年度以降も維持する方針を固めたと報じた。

  同報道について、三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは一部の投資家の間では日本株比率引き上げへの期待があったとし、「やや失望売りも出やすい」との見方を示した。

  一方、いちよしアセットマネジメントの秋野充成社長は、一部でGPIFによる株式比率の引き上げ期待があったものの、それほど大きな期待ではなかったと指摘。 株式の比率を引き上げれば影響は大きかったが、「失望はないと思う」と述べた。

  日経報道によると、GPIFは現在の資産構成割合でも運用目標利回り(賃金上昇率を1.9%上回る水準)を達成できると判断。また、世界経済の先行き不透明感が高まる中、運用リスクを増やすのは適切ではないと判断したという。

  GPIFは原則5年に1度、基本ポートフォリオを見直している。4月からの改定にあたり、投資家の間ではGPIFがよりリスクの高い資産にシフトする必要があるのではないかとの見方があった。ブルームバーグによる昨年8月の調査では、国内株式の資産配分比率を引き上げ、外国債券を引き下げる可能性があるとアナリストの約半数がみていた。

  GPIFの広報担当者は、基本ポートフォリオを含む中期計画は厚生労働省の部会で諮問・答申を経た上で、厚生労働相の認可を得る手続きが終了したら、今月内に公表する方向だとして、それ以外についてはコメントを控えた。

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