▽ビットコインで納税も、「準備資産」入りは何を意味するか-QuickTake
Olga Kharif
- キャピタルゲインを申告せずに納税できるようになるとの臆測も
- ビットコイン買い増しで政府が金を売却することも恐らくあり得る
トランプ米大統領は6日、ビットコインなど暗号資産(仮想通貨)の戦略備蓄を行う大統領令に署名した。これにより、ビットコインは、金や原油と共に米政府の「準備資産」の一つに位置付けられ、主流の金融商品としての正当性が実質的に確立した。
しかし、待望の動きが投資家に高揚感をもたらすことはなかった。大統領令が署名された後、ビットコインや多くの暗号資産は価格が急落した。関税やインフレの不安に加え、米政府のビットコイン買い入れと保有が長期的に市場にどう影響するか、投資家の疑念を価格動向が反映した。

ビットコイン準備の仕組みとは
大統領令は財務省に対し、さまざまな政府機関が保有するビットコインを管理する部署の設置を指示した。刑事、民事事件で没収されたか、民事制裁金の一部として支払われたビットコインを準備資産として保管する。
ビットコインは売却されることはなく、財務長官と商務長官は「予算に中立的で、納税者の負担増にならない」追加のビットコイン取得戦略の策定を命じられた。
「予算中立型」の取得戦略がどのようなものになるか、さまざまな臆測が飛び交っている。キャピタルゲイン(資産売却益)を申告せずにビットコインで納税できるようになったり、ビットコインを買い増すために政府が金準備を売却したりすることも恐らくあり得るが、はっきりしない。
他のデジタル資産備蓄の仕組みとは
ビットコインとは別に米政府が保有する他の全てのデジタルコインを保管するストックパイル(備蓄)も設ける。備蓄されるデジタル資産は、刑事、民事の資産没収手続きや民事制裁金の支払いによってのみ蓄積可能で、必要と判断すれば売却できる。
暗号資産の戦略備蓄を設ける理由は何か
トランプ氏にとって、暗号資産の戦略備蓄を設けることは、2024年の大統領選のキャンペーンに大きく貢献した暗号資産コミュニティーへの支持表明を意味する。ビットコインの支持者らは、ドルの劇的な価値下落など、従来の金融システムの安定が脅かされる事態に備えヘッジ手段になり得ると主張する。
米政府は暗号資産をいくら保有するか
ブロックチェーン(分散型台帳)分析プラットフォーム、アーカムの推計によれば、米政府が保有する暗号資産の合計額は160億ドル(約2兆3700億円)を上回り、このうちビットコインが約158億ドル相当を占める。
安全性の懸念はあるか
ビットコインは無記名資産であり、ビットコインを保有している人が持ち主だ。ハッカーに盗まれると、取り戻すことは容易ではなく、ハッカーにとって魅力的な標的といえる。
原題:How Will the US Bitcoin Reserve Work, Exactly?: QuickTake(抜粋)