▽プーチン氏は停戦交渉長引かせる、有利な条件確保を優先-関係者
- 停戦条件にロシアはウクライナへの武器供給停止を要求する可能性
- 米国の停戦案枠組み、ロシアは容認できず-関係者
ロシアのプーチン大統領は恐らく最終的にはウクライナとの停戦に合意するだろうが、それ以前に自身の条件が満たされることを望み、停戦交渉を長引かせる公算が大きい。
ロシア側の意向に詳しい関係者によれば、プーチン氏は自身の条件が確実に考慮される状況をつくってから、停戦に合意したい考えだ。
これを成し遂げるため、プーチン氏はウクライナ停戦の合意先延ばしを図るだろうと、事情に詳しい別の関係者が述べた。
ウクライナ当局者は11日にサウジアラビアで米当局者と協議し、米国が提示した停戦案に合意。ただ、ロシアは米国と具体的な停戦案について協議しておらず、ロシア側は停戦案の枠組みを容認できないとみていると、関係者の1人は語った。

米国とウクライナの合意は、これまでウクライナのゼレンスキー大統領が被ってきたほどの米国の圧力を免れていたプーチン氏に難問を突きつけた。この合意の概要は、ロシアが戦闘停止に必要だと以前主張していた条件、つまりウクライナ侵攻のより長期的で具体的な解決には対処していない。
関係者の1人によれば、ロシア側はウクライナへの武器供給停止を停戦条件として要求する可能性がある。
カーネギー・ロシア・ユーラシア・センターのシニアフェロー、タチアナ・スタノワヤ氏は電話インタビューで「プーチン氏は、イエスともノーとも明確には答えないだろう」と述べ、「プーチン氏が停戦へ何かしらのジェスチャーを示すような望ましい展開が見られたとしても、それは一時的なものに過ぎず、極めて厳しい条件を突きつけてくるだろう」との見方を示した。
ロシアはウクライナに対し、中立国化や大幅な軍備縮小をこれまでに要求していた。
だが、11日にサウジアラビアで行われた会談でウクライナが停戦案を受け入れると、米国はその見返りに軍事支援と情報共有を再開した。
トランプ米大統領は12日にホワイトハウスで記者団に対し、停戦合意の受け入れでプーチン氏に圧力をかける必要がないことを望むと語った。
トランプ氏は「こうしている間にも、スタッフがロシアに向かっている。停戦でロシアから合意を引き出せることを期待している」と発言。「そうなるなら、このおぞましい惨事の終結へ八合目まで来たと考えられる」と続けた。
ブルームバーグ・ニュースはこれより先、米国のウィットコフ中東担当特使が今週中にモスクワを訪問し、プーチン氏と会談する予定だと報じた。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は12日、同国政府は米ウクライナの合意内容の詳細を待っており、米ロ首脳による電話会談の可能性を排除していないと語った。
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ルビオ米国務長官は12日、ロシアに停戦案の受け入れを迫り、交渉にはロシアによる将来の再侵攻を阻止するウクライナの能力が含まれると述べた。
ルビオ氏はアイルランドのシャノン空港で開いた記者会見で、「抑止力を構築するにはさまざまな方法がある。それがどのような形で、どのように組み合わせるかを、これから話していく」と述べた。
一方、ゼレンスキー氏はロシアが最終的に停戦に合意する場合、ウクライナの支援国が停戦監視に加わる必要があるとの考えを示した。
同氏はキーウで記者団に、「どのような監視が必要か、われわれには明らかだ。停戦は全ての場所で行われることが必要で、われわれは誰を相手にしているか理解している。過去の経験もある。こうしたことを踏まえれば、技術的な支援が必要だ」と語った。
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プーチン氏はこれまで、トランプ氏の早期停戦意欲に取り合わない姿勢を示してきた。昨年12月の年次記者会見では、「ロシアは停戦を必要としていない。必要なのは、ロシアとその国民への保証を伴う長期的で永続的な平和だ」と述べていた。
原題:Putin Likely to Drag Out Ukraine Truce Talks to Seek Terms (3)(抜粋)