いやはや、なんと言えばいいのだろう。空いた口が塞がらないとは、こういうことを言うのだろう。とにかく呆れた。そしてなお「政治資金規正法には当たらない」と、いけしゃあしゃあと弁明する。10万円の商品券を送った対象は新人議員の10人。懇親会のお土産として、家族へのプレゼントの意味を込めてポケットマネーから出したと強弁する。常日頃、選挙で家族に苦労をかけているからその慰労だという。「家族の慰労」と言えば、規制法をクリアーできる。まるで新人議員に新しい時代の政治資金の送り方、もらい方を伝授しているかのようだ。国会では企業献金の是非をめぐる政治資金規正法の改正をめぐって、与野党が真正面から議論している。その最中に規正法の新しい抜け道伝授というわけだ。自民党の新人はこうして金権政治家として育っていくのだろう。受け取った新人は「ご時世がら受け取れない」と返却したそうだ。「ご時世でなければ」受け取るのか、嫌味の一つも言いたくなる。

トランプ大統領の登場によって世界中が不安と混乱の渦に巻き込まれている。その一例がEUだろう。「ウクライナの安全はEUが保障しろ」、大統領の一言で経済同盟にすぎなかったEUは「欧州再軍備計画」の実現に向けて動き出している。実現するかどうかわからない。最大の障害はそのための資金をどうやって調達するかだ。財政健全化を旗印にしている限り軍事力の強化は実現できない。EUの盟主であるドイツは先の総選挙でキリスト教民主同盟(CDU)が政権に返り咲くことになった。次期首相就任が有力なメルツ党首は、再軍備計画の実現に向けて憲法改正を打ち出している。要するに財政健全化路線の放棄だ。おそらく、そうなるだろう。そうならざるを得ない国際情勢になっている。E Uだけではない。日本もE U、ドイツとまったく同じ状況に直面している。次期駐日大使に指名されたジョージ・グラス氏はきのう、上院外交委員会の指名承認公聴会で、米国は在日米軍駐留経費の負担増を日本側に要請する必要があるとの認識を示した。

日本に駐留する米軍は6万人、日本側の負担している駐留経費は年間約14億ドル(2000億円超)に達している。トランプ氏は「日本の防衛費はGDPの5%が必要」と囁いている。それだけではない。記者団を前に「われわれは日本を守らなければならないが、日本はわれわれを守らない」とさりげなく不満を示す。まるで真綿で首を絞めるようだ。グラス氏は証言する。「中国軍の能力が向上しており、対抗するコストは大幅に増加している」と。一国民としても気になる発言だ。それぐらいは誰でもピンとくる。その発言の当日、日本の総理大臣は深夜に記者会見を行い「政治資金規正法に該当しない」と弁明した。そして今朝も同じ発言を繰り返している。そうじゃないんだよ、石破さん。手のひら返しに、二転三転した高額医療費問題、異常ともいうべき予算案の再修正、挙げ句の果ての商品券だよ。問題は総理としての「資質」。率直に言って政権のジ・エンド、ひょっとすると自民党の終焉か・・・。