▽石破首相の商品券配布に閣僚「タイミングが悪すぎる」、維新・前原共同代表「一種の買収と」

記者団の質問に答える石破首相(13日深夜、首相公邸で)

野党は追及強める構え

 石破首相(自民党総裁)が当選1回の自民党衆院議員15人に各10万円分の商品券を配布していた問題は、自民派閥の「政治とカネ」の問題を引きずる政府・自民にとって大きな打撃となりそうだ。2025年度予算案の再修正を巡って政府・与党を追及する野党は、さらに攻勢を強める構えを見せている。(三沢大樹、山本貴広)記者団の質問に答える石破首相(13日深夜、首相公邸で)

 「法律に抵触をするものではない。総裁として『ご苦労さま』ということ(の配布)で、政治活動とは全く次元の異なるものだ」

 首相は13日深夜、急きょ首相公邸で記者団の取材に応じ、そう釈明した。政治資金規正法では、政治家個人の政治活動に対する金銭などの寄付を禁止しているが、同法などには抵触しないと時折笑顔を見せながら強調することで、問題の沈静化を図ろうとした。

 しかし、自民内の動揺は大きい。自民執行部の一人は「社会的に大きな話になる。あり得ない」とショックをあらわにした。ある閣僚は「25年度予算案の再修正を巡って陳謝したばかりで、タイミングが悪すぎる」と語り、国会での予算案審議への影響は必至だとの見方を示した。

 立憲民主党が予算案を巡って政府方針が二転三転したと追及を強める中、首相は13日の衆院予算委員会で、質問に立った立民の野田代表に対し、「大変申し訳ない」などと低姿勢で答弁し続けたばかりだった。

 夏の参院選に向け、参院自民を中心に首相の政権運営に対する不満は蓄積しており、今回の問題でさらに党内での求心力低下が浮き彫りとなっている。自民若手は「政治センスがない。参院選はぼろ負けする。支えきれない」と突き放した。

 野党は、首相の進退にもつながる問題だとして批判を強めている。野田氏とともにこの日の衆院予算委で首相を追及した国民民主党の玉木代表は13日夜、党のユーチューブ番組で「報道が事実であれば、首相の職を続けるのは難しいのではないか」と語った。

 立民の小川幹事長は取材に対し「退陣を求める可能性があるくらい深刻な問題だ。企業・団体献金について話し合っている時期にありえないことだ。徹底的に真相解明、責任を追及していく」と述べた。

 日本維新の会の前原誠司共同代表も「一種の買収と受け止められても仕方ない」と批判した。予算案審議が大詰めを迎える中、野党は強気の姿勢で首相の責任を問う方針だ。

 参院で予算案は再修正されて可決された後、衆院に回付され、過半数の同意を得る必要がある。年度内成立に向けて日程的には1日の猶予もない状況だ。政府高官は13日夜、「正直、明日以降どうなるかわからない」と述べ、政権運営への危機感をあらわにした。

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