▽秩序ある関税発動目指すUSTR代表、カオス再来防止へ主導権を模索

Jenny Leonard、Nancy Cook、Josh Wingrove

  • グリア代表、企業などから意見を公募し要望を考慮へ-関係者
  • これまでの関税発表、ナバロ顧問とラトニック長官がメッセージ発信

米国の貿易交渉を担うトランプ政権トップは、4月に発表される大規模な関税発動を秩序のあるものにしようと取り組んでいる。これまでの関税発動は市場に動揺を走らせ、ビジネスの先行き不透明感を深める一方だった。

  関税の脅しとその取り消し、それに続く混乱の繰り返しで迷走したこの2カ月間、米通商代表部(USTR)のグリア代表はほぼ蚊帳の外に置かれた状態だった。就任を承認されたのが2月下旬だったため、USTR代表の不在はナバロ上級顧問(貿易・製造業担当)とラトニック商務長官が埋める格好で、メッセージが発信された。

  グリア氏は冷静沈着で法律に明るく、第1次トランプ政権でライトハイザーUSTR代表の首席補佐官を務めた経歴がある。4月2日に予定される一連の新関税発表では、同氏が主導権を握ろうとしている。事情に詳しい複数の関係者が、継続中の協議であることを理由に匿名で明らかにした。

  トランプ米大統領が「ザ・ビッグ・ワン(重大な日)」と呼ぶ4月2日には、貿易相手国が米国に課す関税や非関税障壁に合わせた相互関税のほか、自動車や半導体、医薬品への関税発表も計画されている。これらの関税が発表後から何日後に発効するのか、正確なところは不明だ。

President Trump To Announce Reciprocal Tariff Plan
米通商代表部(USTR)のグリア代表Photographer: Francis Chung/Politico/Bloomberg

  トランプ米大統領は16日、広範囲にわたる相互関税と追加のセクター別関税の両方を4月2日に賦課する方針を表明。大統領専用機で記者団に対し、両タイプの関税が賦課されるケースもあると語った。

トランプ米大統領、相互関税とセクター別関税の両方を賦課-4月2日

  USTRはグリア代表の下で、従来の政策プロセスを一部復活させた。カナダとメキシコ、中国への関税と金属関税が前回発動された時、相互関税に関する意見公募というプロセスが欠落していた。USTRは今回、企業などステークホールダーから正式にフィードバックを受ける。

  グリア氏は関税プログラムの設定にあたり、そうした要望を考慮する計画だと、関係者らは述べた。

  これまでの関税発動を巡る混乱はホワイトハウスに政治的なダメージを残し、一部の関税は法的係争の標的ともなった。16日に発表されたNBCの世論調査では、トランプ氏の経済運営に対しては有権者の半数を超える54%が不満足と回答している。

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原題:Trump Trade Chief Pushes for Order After Rocky Tariff Rollout(抜粋)