▽日本製鉄のUSスチール買収計画 トランプ大統領 再審査を指示

アメリカのバイデン前大統領が禁止命令を出した、日本製鉄による大手鉄鋼メーカー、USスチールの買収計画をめぐってトランプ大統領はアメリカ政府のCFIUS=対米外国投資委員会に対し、買収計画を再審査するよう指示する文書に署名しました。

日本製鉄によるUSスチールの買収計画をめぐっては、バイデン前政権のもとで計画を審査したアメリカ政府のCFIUSが全会一致に至らず、判断を委ねられたバイデン前大統領はことし1月、国家安全保障上の懸念を理由に買収計画に対する禁止命令を出していました。

一方、トランプ大統領は7日、CFIUSに対し、この買収計画に関してさらなる措置が適切かどうかを判断するため買収計画を再審査するよう指示する文書に署名しました。

署名した文書ではCFIUSに対し、日本製鉄などの当事者が国家安全保障上のリスクを緩和するために提案した措置が十分なものかどうかを45日以内に報告するよう求めています。

専門家によりますとCFIUSが一度審査を終えた案件を再審査するのは極めて異例です。

また再審査では過去の決定に縛られることはないとしています。

USスチールの買収計画をめぐっては、トランプ大統領が株式の過半数を保有することを認めない考えを示す一方、日本製鉄側は子会社化する形での現在の買収計画が出発点だとしています。

両者の間には隔たりがあるとされてきましたが、再審査によって買収計画が動き出すことになるのか注目されます。

日本製鉄「早期の審査完了を期待」

日本製鉄は「トランプ大統領がCFIUSに対して合併に関する審査を改めて行うよう指示したことに感謝します。USスチールが世界をリードする鉄鋼メーカーとなり、アメリカのお客様に最高品質の製品を提供し、製造業を強化するため、すでに計画している投資に着手できるよう、早期の審査完了を期待しています」とコメントしています。

USスチール「決定は極めて重要」歓迎するコメント

USスチールは「大統領のきょうの決定はアメリカの鉄鋼業への新たな、そして歴史的な投資を実現するための取り組みとして、極めて重要だ」などと歓迎するコメントを出しました。

その上で、「新たな雇用を創出するとともに国家安全保障を強化し、アメリカの製造業の明るい未来を保証する、この重要な投資を最終決定するため、トランプ大統領および政権と緊密に協力していくことを期待している」としています。