▽トランプ氏、日本など相互関税「90日間停止」-対中125%に引き上げ
Jordan Fabian、Skylar Woodhouse
- 停止期間中の相互関税、大幅に引き下げて10%にする-トランプ氏
- これは最初からトランプ氏の戦略だった-ベッセント財務長官

トランプ米大統領は9日、米国に報復措置を講じていない日本などの国・地域に対して、高水準の相互関税を90日間停止することを承認したと明らかにした。一方、中国に対しては関税を125%に引き上げた。
世界56カ国と欧州連合(EU)に対する高水準の相互関税が発動された13時間後というタイミングで突如、トランプ氏は方針を転換した。相互関税の発動を受けて金融市場がさらに混乱し、リセッション(景気後退)懸念も強まり、トランプ政権に対しては経済界や投資家から政策を見直すよう求める圧力が強まっていた。
トランプ氏は「90日間の一時停止を承認し、この期間中の相互関税を大幅に引き下げて10%とする。即時発効する」とした。
ホワイトハウス高官によると、9日に上乗せ税率発動の対象となった中国を除く国・地域は、それ以外の国・地域と同様に5日発動の10%の基本税率の対象となる。鉄鋼・アルミニウム関税や自動車関税は現行水準に維持する。
カナダとメキシコからの輸入品に対する25%の関税は、「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の対象品目以外、現行のままとする。EUについては、鉄鋼・アルミ関税への報復措置を表明したもののまだ実施されていないことから、10%の税率を適用するという。
トランプ氏の発表を受け、株式市場ではS&P500種株価指数が一時9.5%高と急伸。ナスダック100指数も12%上げた。米2年債利回りは30ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して一時4%を上回った。外国為替市場では円がドルに対して下げに転じた。
関連記事:【米国市況】2008年来の株急伸、関税一時停止で懸念緩和-一時148円台

一方でトランプ氏は、中国が交渉を拒否しているとして関税を引き上げると説明。「世界の市場に対する中国の敬意の欠如を踏まえ、米国は中国に課す関税を125%に引き上げる。即時発効だ」と述べた。
トランプ氏はホワイトハウスで方針転換の理由を巡る記者団の質問に対し、「国民が少し行き過ぎていると思った」とし、「彼らは少し興奮し、また少し恐れていた」と語った。

トランプ氏が先に発表したいわゆる「相互関税」は米東部時間9日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)に予定通り全面的に発動。これに対し、中国も報復措置を発表。中国政府は米国から輸入する製品に対する関税を84%に引き上げると発表した。
ベッセント米財務長官は今回の方針転換をトランプ氏の勝利と位置づけ、他国との協議において「大統領は最大限の交渉力を生み出した」と記者団に述べた。今後数日以内にベトナム、日本、インド、韓国の当局者と会談する予定であることも明らかにした。
「この瞬間まで方針を貫くには大きな勇気が必要だった。これは最初からトランプ氏の戦略だった」とベッセント氏は語った。
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原題:Trump Halts Higher Tariffs on Most Nations, Ups China Rate (2)、Trump Pauses Higher Duties on Most Nations, Hikes China Rate (2)
