▽トランプ米政権、対日交渉で踏み込んだ譲歩期待 相手国競わせる 妥結「一番乗り」促す

ベセント米財務長官(ロイター=共同)
ベセント米財務長官(ロイター=共同)

【ワシントン=塩原永久】トランプ米政権は関税措置を巡る日本との交渉で、最大限の譲歩を勝ち取りたい構えだ。米政権高官によると、具体的な提案を携え米国との協議に臨むのは十数カ国に達した。対米交渉を進める相手国間で競わせ、踏み込んだ譲歩を促す思惑もうかがえる。優先交渉先と位置づける日本との早期妥結への期待は高い。

「最初に取引をまとめた人が、最良の取引成果を得るものだ」

ベセント財務長官は14日の米ブルームバーグテレビのインタビューで、そう語った。対米交渉に乗り出す相手国に対し、早く譲歩して妥結した方が得だとほのめかした。

他の政権幹部からも、交渉の取りまとめで一番乗りした国が「最大の賞金を得る」(ハセット国家経済会議委員長)などと、早期の歩み寄りを迫る声が聞かれる。

ベセント氏はグリア通商代表部(USTR)代表とともに日本との交渉を担当。日本を最優先の交渉相手としている。米政権は相手国の関税だけではなく、規制などの非関税障壁に深刻な問題があると主張しており、対日交渉でも焦点となる。

一方、2国間の貿易協議ですら通常は数年かかるとされ、米政権が多数の国と同時並行で実質的な交渉が進められるのか疑問視する見方もある。米政権は国ごとに「カスタマイズされた」交渉を進めるというが、どこまで譲歩すれば妥結に至るのかは見通せない。

「(日本など)最重要パートナーに関しては、最終的にトランプ大統領が(交渉に)関与する」(ベセント氏)といい、トランプ氏の一存で追加関税の減免が決まる公算が大きい。