週刊文春の5月15日号を読んだ。タイトルは「石破茂首相への闇献金、3000万円を告白する−元側近が爆弾証言」。読んだ第一印象、「これは事実だ」。さて総理はどう釈明するのか。昨日総理は、衆院予算委員会で「週刊誌報道にあるような支援を受けたということは全くない」(朝日新聞)と、全否定した。文春砲を読んだ私の第一印象は黒。石破総理は国会で「嘘をついた」ことになる。嘘との印象を強くした根拠は、裁判資料をベースにこの記事が構成されていることだ。裁判の詳細は省略するが、元側近が2014年に提起された裁判の陳述書には以下のような記述があった。「〈衆議院議員・石破茂氏 2万円×300枚〉。私がこれらを完全に売り捌くのは無理で(略)、売れ残りのチケットを会社の資金で買いとりました。その都度、数百万単位の赤字を負担させられ続けてきました」。
週刊文春はこの事実について以下のように指摘する。「これが事実であれば、石破氏は父に命じられた下根正宏氏に、年600万円ものパーティー券を買い取らせていたことになるのだ。だとすれば、パーティー券の購入という形の政治献金になる。ところが、小誌取材班が石破氏に関連する政治団体の収支報告書を過去20年ほど遡って全て調査しても、パー券の購入者や寄付者として下根父子の氏名、社名が記載されたことは、ただの一度もない」。昨日記者会見を行った正宏氏は事実関係を説明したあとで、「胸に手をあてて真実を語ってほしい」(朝日新聞Web版)と語った。果たしてどちらの主張が正しいのか、結論は明白であるように私には思える。石破総理は昨年の総理就任以来数々の“話題”を振り撒いてきた。手のひら返し、総選挙の最中の2000万円配布問題、本年度予算案をめぐる二転三転問題、挙句果てには1年生議員に対する商品券配布問題も暴かれた。
石破氏は自民党の歴代総理に比べればカネに苦労した政治家だと思う。それが同氏のクリーンなイメージを作り出してきた。だがこれは実像とはかけ離れているのではないか。たとえば10万円の商品券問題。ポケットマネーから出したと本人は言っているが、誰もそれを確認したわけではない。公開の必要がない官房機密費は総理にとってはポケットマネーのようなものだ。ポケマネとはそういう意味ではないのか。「あることをない」と言い切ることができるとしたら、その人は庶民に寄り添う政治家ではない。朝日新聞OBの左藤章氏は、検察には総理を立件する際の最低金額があるという。その額は1億円。田中角栄は5億円で起訴された。安倍元総理は河井氏と党活動費1億5000万円を折半したが、受け取ったのは7500万円。1億円は下回っている。石破総理はたったの3000万円。検察は起訴しない。それを知ったうえで石破氏は堂々と国会で嘘をついたのではないか。庶民の妄想は膨らむ。
