朝食をとりながら民放のTVを見ていて気がついたこと。お米の5Kgあたりの平均価格が18週間ぶりに値下がりしたが、これは安いか高いか。民放の情報番組では生産者や消費者の評価を交えながら、コメンテーターが感想を述べていた。民放に共通したテーマ設定。NHKを含めテレビ局の取り上げ方は多少の違いはあるが、どの局もほぼ一緒。とりわけ民放は同じ局ではないかと思うほど似ている。いつも言っていることだが、取り上げ方が一緒なら民放は一つあればいい。どうしてこうなるのか?推測だが各局がそれぞれ他局の扱い方を気にしているからだ。気にするのは当然だとしても、扱い方に独自色がないのはいただけない。ひょっとするとテレビ局は扱い方も談合で決めているのではないか。邪推だが、当たらずといえども遠からず・・・か。経済の本質そっちのけにして、横並びで安心する。報道の自由などあるはずがない。
経済に強いはずのテレ東は次のように報道している。「農林水産省は、5月4日までの1週間に全国のスーパーで販売されたコメ5キロ当たりの平均価格が4214円だったと発表しました。過去最高値だった前の週より19円安くなり、値下がりは18週ぶりです。備蓄米放出の効果が表れたものとみられますが、1年前に比べると2倍の高水準が続いていて、持続的な値下げにつながるかどうかが課題となります」。1年前との比較は発表そのままだから、取り立てて問題にすることもない。気になるのは「1年前に比べると2倍の高水準」、「持続的な値下げにつながるかどうかが課題」この2点だ。「2倍」は高水準であることは事実だが、比較が米価同士の単純な比較でしかない。例えば、日本人の平均月収に対する1年前の比率を計算すれば、今年の方がはるかに高い比率になるだろう。月収はほぼ横ばいなのに、米は2倍に暴騰した。
「持続的な値下がりにつながるかどうか」、これも非経済的視点だ。テレ東にあるまじき視点だ。諸物価高騰の折り、生産コストも上がっている。持続的な値下がりという表現は生産者を無視している。日本の米価は農林水産省が決めてきた。コメの管理制度や減反政策は廃止されたが、いまでも補助金を通して生産や価格調整が行われている。米価問題はいまだに続く農水省の目に見えない管理政策が、機能しなくなった現実を天下に晒していると見た方がいい。日本経済は「社会主義政策が最も成功した一例」という表現がある。GDP600兆円のほぼ半分に当たる300兆円強は、一般会計と特別会計が占めている。日本は民主主義的社会主義国家といった方がいいのかもしれない。ではどうするか?誰も答えを持っていない。だから混迷している。市場経済は行き過ぎる。バブルが教えてくれた。適正に管理された市場経済。当面はそれしかないように思えるが、管理者はおしなべて無能だ。
