▽トランプ米政権、半導体輸出規制を見直しへ-中東や友好国の制限撤回
Mackenzie Hawkins、Stephanie Lai
- バイデン政権が導入したAI拡散ルールを取りやめ独自規制を策定へ
- 国外での半導体管理強化を目指す方向で調整が進められているという

トランプ米政権は、人工知能(AI)向け半導体の輸出規制を全面的に見直す方針だ。AI半導体で圧倒的シェアを占める米エヌビディアやオラクルなどの企業、同盟国から強い反発を招いたバイデン前政権のアプローチを撤回する。
米商務省の13日の発表によれば、トランプ政権はバイデン政権が導入した「AI拡散ルール」を取りやめる。AI半導体の輸出先となる国・地域を三つのカテゴリーに分類する規制が15日に発効する予定だった。
事情に詳しい複数の関係者によると、トランプ政権は、新たな独自のアプローチを策定中であり、今後は各国・地域との個別交渉に軸足を移す可能性がある。
バイデン政権の規制では、三つのカテゴリーのうちティア2に分類された中東諸国などに対し、友好国であってもAI半導体輸出に制限が課されるはずだった。
バイデン氏が退任直前の最後の週に発表したAI拡散ルールに中東諸国も反発し、トランプ大統領が中東地域を訪問するタイミングに合わせ、規制の見直しが明らかになった。関係者によれば、トランプ政権の新たな規制は、国外で半導体の管理強化を目指す方向で調整が進められているという。
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米商務省は声明で、バイデン政権の規制が実施されれば、「数十カ国をティア2のステータスに格下げし、それらの国々との外交関係を損なう恐れがあった」と批判。AI拡散ルールの正式な撤回を通知し、これに代わるルールを将来発表するとした。

中国の通信機器メーカー、華為技術(ファーウェイT)が開発したAI半導体「Ascend(アセンド)」を使用すれば、「世界のどこでも」米国の輸出管理規則に違反するとの指針も商務省は公表。中国のAIモデル開発に米国のAI半導体が利用されることで生じる潜在的影響も一般国民に今後警告する。
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商務省は今後策定する方針について、「敵対勢力の手に技術が渡ることを防ぎ、世界中の信頼できる国・地域と米国のAI技術を共有する大胆かつ包括的な戦略」になると説明した。
中国の軍事的優位をもたらすことを恐れる米政府は、エヌビディアなどの最先端半導体の対中輸出規制を22年に導入し、翌年には迂回(うかい)輸出などを念頭に一段の規制強化を打ち出した。AIアプリケーションに不可欠な高帯域幅メモリー(HBM)や半導体製造装置の規制対象も広げてきた。
非公開情報を理由に関係者の1人が匿名で語ったところでは、トランプ政権の当局者は、マレーシアやタイなど中国に半導体を迂回させた国々に制限措置を課す意向だ。関係者によると、商務省はその間、既存の半導体輸出規則を引き続き厳格に実行する。
原題:Trump to Rewrite AI Chip Curbs Reviled by Nvidia and US Allies(抜粋)
