自民・公明両党と野党第1党の立憲民主党がまとめた年金改革修正案に、自民党の河野太郎氏が噛みついた。これは「毒入りあんこ」だと。国民民主党の玉木雄一郎代表もこれに同調した。「将来の税負担が組み込まれている」と。他党の新規施策には財源の提示を求める自公連立政権。自分たちが推進する政策の財源は隠す。まさにステルス増税だ。これで来るべき7月の参院選を凌げると考えているとすれば、天下に無知を晒すことになる。おそらくこの修正案を裏で差配しているのはDSの財務省だろう。今回の修正案は枠組みの導入を目指すもので、実施は早くても2030年だ。立憲民主代表の野田氏が、総理だった2004年に導入した「社会保障と税の一体改革」そっくりだ。このときも財務省が裏で糸を引いていた。参院選後の大連立も視野に入っているのだろう。日本をダメにする政治家の野合が再び動き始めようとしている。
まずは修正案のポイントを見てみよう。以下は日経新聞(Web版)からの引用。「修正案は会社員らが加入する厚生年金の積立金を使って基礎年金の給付水準を底上げする仕組みの導入について盛り込むのが柱。底上げを実施するかは2029年の年金制度に関する財政検証を踏まえて判断する内容だ。厚生年金の給付額が減る場合に緩和措置を講じる方針も規定する」。これだけ読んで「いいんじゃない」と思う有権者は多いと思う。基礎年金の給付水準を底上げすれば、飲食店の店主など中小零細企業で働く人たちの将来不安が多少は改善される。だがその裏にステルス増税が巧妙に仕組まれている事実に、まず気がつくべきだ。河野氏はそこを指摘する。「厚生年金の被保険者が年金のために負担した保険料を勝手に目的外利用するものだ」と。自公立憲の3党は月内の衆院通貨を目論む。国会審議は形式的なものにとどめ、数で押し切ろうというわけだ。
これに国民民主の玉木代表がクレームをつける。「河野氏の指摘は本質的で正しいと」。財務省と石破総理が考えそうなことだ。制度が実質的に動き出すのは2029年に予定されている次回の財政検証からだ。実施は早くて翌年から。忘れっぽい有権者の質(たち)につけ込んだ増税含みの修正案である。堂々と「増税の可能性もある」と修正案に注記すべきだろう。日経新聞には識者のコメントが掲載されている。諸富徹京大教授は「画期的」と評価する。芯からの御用学者だ。これに対してサイエンスライターの竹内薫氏は「賃金上昇分を厚生年金に吸い取られてしまう」と3党に対する不満を表明する。政府の年金改革法案には106万円の壁撤廃など、年金加入条件の緩和が盛り込間れている。国民の生活を考えているふりをしながら、参院選を前にして物価上昇で苦しむ国民からむしり取ろうとしているのだ。まさに悪魔の修正案というべきだろう。
