▽米消費者信頼感、4年ぶりの大幅上昇-関税一時停止で見通し改善
Nazmul Ahasan
- 5月の信頼感は12.3ポイント上昇の98、全エコノミスト予想を上回る
- 期待指数、現況指数ともに上昇-現在の雇用市場に対してはまちまち
米消費者信頼感指数は5月に急回復し、4年ぶりの大幅上昇となった。前月は5年ぶりの水準に落ち込んでいた。関税の一時停止を背景に、景気や労働市場の見通しが改善した。
| キーポイント |
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| ・消費者信頼感指数は12.3ポイント上昇の98 ・ブルームバーグ調査のエコノミスト予想全てを上回る予想 ・中央値は87.1前月は85.7(速報値86)に下方修正 ・民間調査機関のコンファレンスボードが発表 |
今後6カ月の見通しを示す期待指数が大幅な上げ。現況指数も上昇した。信頼感の改善は年齢層や所得層、支持政党を問わず幅広く見られ、とりわけ共和党支持層での伸びが大きかった。

今回の調査の締め切りは5月19日で、米国と中国が相互の関税率の一時引き下げで合意した後にあたる。発表によると、回答の約半数は5月12日の合意成立後に収集された。
コンファレンスボードのシニアエコノミスト、ステファニー・ギシャール氏は「5月12日の米中貿易合意以前から既に回復は見られていたが、その後さらに勢いを増した」と発表文で説明した。
信頼感の改善は、これまでの主要な不安要因だった関税を巡る懸念がここ数週間で和らいだ可能性を示している。しかしその後、トランプ米大統領は他国・地域や他の製品に対する関税引き上げを再び警告している。
今回の調査では、株式市場に対する消費者の見通しが改善。今月に入ってS&P500種株価指数が6%近く上昇した動きと一致している。
サンタンデールUSキャピタル・マーケッツのチーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は「関税の問題が決着したとは、とても言えない。ここ数日にも欧州連合(EU)に対する50%関税の脅しがあった。しかし、金融市場は既にそれを乗り越えようとしており、今回の統計は家計も同様の方向に動きつつあることを示唆している」とリポートで指摘した。
見通しを楽観
消費者はビジネス環境や雇用市場、自分の所得に対する楽観を強めた。結果として、今後6か月間に自動車や住宅、大型家電を購入する計画だとの回答、および休暇を取る予定だと答えた人の割合が増加した。
一方、現在の雇用市場に対する見方は、ややまちまちだった。5月には「雇用は豊富にある」と答えた人の割合が増えた一方で、「仕事を得るのが難しい」と答えた人の割合も増加した。両者の差は5カ月連続で縮小。エコノミストは労働市場の堅調さを測る指標としてこの差に注目している。
消費者のインフレ期待の中央値は、2022年半ば以来の大幅低下となった。一部の消費者はガソリン価格の下落を理由に挙げた。
統計の詳細は表をご覧ください。
原題:US Consumer Confidence Jumps Most in Four Years on Trade Truce(抜粋)
