連日の米騒動だ。米価高騰が引き起こした国民の不満の現れと言っていいだろう。民意を無視した自公政権に対する国民の怒りの爆発だろう。マネーロンダリングとも言うべき自民党の裏金疑惑、明快な解決策を提起できない自民党。石破総理の誕生で局面の展開を図ろうとしたが、総理自身が国民の信を失った自民党政治に回帰して恬(てん)として恥じることがない。直近の政局を振り返ってみるだけでも、さまざまな不愉快な出来事が思い出される。総理の支持率の低迷、当然だろう。政権への期待感、ほとんどない。そこに降ってわいたのが米騒動だ。まるで1918年に発生したコメ騒動の再来だ。Wikipediaによると「第一次世界大戦の影響による好景気(大戦景気)はコメ消費量の増大をもたらし、一方では工業労働者の増加、農村から都市部への人口流出の結果、米の生産量は伸び悩んでいた」。

原因や背景は似て非なるものだが、前回も今回もコメの価格急騰をきっかけに国民的な大騒動に発展したことは同じだ。国民食のコメだ。価格が急騰すれば騒動に発展するのはいつの時代も同じ。価格急騰は昨年の夏ごろに始まっている。にもかかわらず政権も与党も、もっと言えば野党も鈍感だった。これが諸悪の根源であることは間違いない。これに江藤前農林大臣の「米は買ったことがない」、「家の倉庫には売るほどある」との不謹慎な発言が重なれば、国民の不満は爆発する。当たり前のことだ。その結果なにが起こったか。後任の小泉農林大臣の強力な指導のもとに、備蓄米の低価格による放出だ。燃え盛る価格の騰勢を抑えるためには、急拵えの消火剤が必要なことは理解できる。試食会もやればいいだろう。古米も古古米も古古古米も、食べれば美味しい。オールドメディアは例の如く横並びで、備蓄米放出の礼賛報道一色だ。

なにが気に入らないのか、自問自答するしかない。なによりもまず政治家も学識経験者もメディアも単純すぎる。米騒動の要因は価格だけではない。備蓄米を大量に放出すれば、慢性的な人手不足の運送業者に能力を超えた輸送圧力がかかる。2024年問題(時間外労働の制限)という規制もある。一部の輸送業者はコンビニ向けに小分けする仕事も請け負っているようだ。小分けするための袋も大量に発注しなければならない。袋の印刷を請け負っている零細業者はおそらく徹夜の仕事になるだろう。一次が万事、政府がなにかを決断すれば、それに関連する民間業者は影響を受けるのだ。今朝のテレビ報道によると零細な小売業者を対象とした説明会で、備蓄米の入札条件の最低数量が10トンと報告されたようだ。バカじゃないか農林省。どこに保管するのだ。スピード重視の小泉大臣、浮かれている場合じゃない。関連業者を含めたスピードアップが必要なのだ。国民無視、零細無視、価格だけ下がればいい。政治の限界、ここに極まれり。