▽赤沢再生相、パッケージ全体で合意可能かが問題-日米関税協議

照喜納明美、松井玲

  • 「日米が互いの立場十分に認識、合意に向けた議論の進展確認した」
  • 6月のG7首脳会議前に再び協議を行うことで一致したと説明
赤沢亮正経済再生担当相
赤沢亮正経済再生担当相 Photographer: Stefani Reynolds/Bloomberg

赤沢亮正経済再生担当相は30日(米ワシントン時間)、米国による関税措置を巡る4度目の交渉を終え、合意に向けた議論の進展を確認したと述べた。その上で、パッケージ全体で合意が成立するかが問題だとの認識を示した。終了後に現地で記者団の取材に応じた。

  赤沢氏は「日米が互いの立場を十分認識するとともに、合意に向けた議論が進展していることを確認した」と発言。日米間の調整をさらに加速し、6月の主要7カ国(G7)首脳会議前に再び協議を行うことで一致したと説明した。

  その上で、「交渉とは全てが合意されるまで何も合意はできていないということだ」とし、「パッケージ全体として最終的に合意が成り立つかどうかが重要な点だ」と述べた。

  2週連続の交渉となった今回は、前回不在だったベッセント財務長官も出席。ラトニック商務長官も交え、約2時間10分にわたって協議した。

  関税交渉に先立つ日本時間29日夜、石破茂首相とトランプ米大統領は約25分間の電話会談を実施。終了後、石破首相は記者団に対して「お互いの理解は一層深まった」との認識を示した。ただ、一連の関税措置の撤廃を求める日本の立場に「全く変更はない」としている。

  赤沢再生相もベッセント氏らとの協議後、記者団に対し「一連の関税措置の見直しをあらためて強く申し入れた」と説明。関税措置を「即刻見直してほしいということを強く求めている立場だ」とし、「それにかなわない形であれば、合意は困難」と述べた。

経済安保

  経済安全保障に関しては、半導体について「日米それぞれの強みで補い合うことで強靱(きょうじん)なサプライチェーンを作り上げる」ことが基本的な考え方だろうと発言。レアアース(希土類)を含む重要鉱物についても経済安保上の重要テーマだとの認識を示した。

  自動車・同部品については、日本だけでなく「米国にとっても大変大きな関心分野だ」とした上で、「われわれのポジションは変わっていないのかと言われれば、全く変わっていない」と語った。

  トランプ関税に対しては数多くの訴訟が提起されており、法的に不安定な状態に置かれる可能性もある。米国際貿易裁判所が関税の多くを違法とした判断を巡り、連邦高裁は29日、効力を一時的に停止する判断を下した。連邦高裁はその間、政府が求める長期的な効力停止の是非を検討する。トランプ政権は広範な関税措置を維持するため対応を急いでいる。

関連記事:トランプ関税、連邦高裁が当面の効力認める-政府の要請に応じる

  赤沢氏はこの件について記者団に問われると、具体的な発言は控えたいとし、「今後の裁判の推移も含めてよく注視、分析をし、適切な対応を取っていきたい」と述べた。

  米財務省は発表文で、ベッセント長官が協議で赤沢氏に対し、関税および非関税措置に対処することや投資拡大の重要性を強調したと説明。経済安保をはじめとする両国共通の関心事項への取り組みで連携することが肝要だと述べたことを明らかにした。

  米国はこれまでに自動車や鉄鋼、アルミニウムに25%の関税を発動。さらにほぼ全世界を対象に一律10%の関税を導入している。日本に対し当初適用した24%の上乗せ税率は、90日間の停止措置が設けられた。日本側としては、引き続き全面的な見直しを求めていくのか、一定の税率引き下げで譲歩するか、着地点に向けた交渉の進め方も注目される。  

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