▽地方創生へ「ふるさと住民」創設の政府構想案、のべ1億人登録目標…「関係人口」増やす狙い
石破首相が看板政策に位置付ける地方創生の推進に向け、政府が策定する「基本構想」案の全容が判明した。居住地以外で継続的に関わる自治体を登録する「ふるさと住民登録制度」を創設し、のべ1億人の登録を目指す。地方への若者の移住者を倍増させることや、人口が減っても「稼げる」地方の実現を打ち出した。
構想は2034年度までの10年間で取り組む施策をまとめたもので、今月中旬にも閣議決定する。具体化させた「総合戦略」も今年度内に策定する。総合戦略は、首相が地方創生相だった14年にも策定したが、当時は人口減少対策に主眼を置いていた。今回は「地方創生2・0」と銘打ち、人口減少を前提とした地域経済の成長を掲げた。
新たな登録制度は、東京一極集中に歯止めがかからない中、継続的に地方と関わる「関係人口」を増やす狙いがある。スマートフォンなどから利用できる専用アプリを通じ、好きな市町村を選んで「ふるさと住民」として登録すれば、その地域内の施設を住民と同様に使えるようにすることなどを想定している。自治体側は、イベントなどの情報を知らせ、ボランティア募集などで活用できる。
構想では、登録者は実人数で1000万人を目標に設定し、複数自治体に登録してもらうことで、のべ1億人に到達させるとした。地方での就業者1人あたりの労働生産性を東京圏と同水準にすることや、全市町村で地域課題を解決するために人工知能(AI)やデジタルを活用することも列挙した。
若者の地方移住を促進するため、移住支援の対象を農林水産業や医療・福祉従事者にも拡大する。中央省庁の移転に向け、新たに地方から提案を募集する。都道府県域を超えた官民連携の枠組みを新設することも盛り込んだ。
「令和の列島改造」をうたい、半導体やデータセンターなどの投資を呼び込むための環境も整備する。地方の中小企業の輸出や海外展開の支援を充実させ、AIやデジタル技術を生かした農林水産業の生産性向上にも取り組む。
◆ 関係人口 =過去の旅行での訪問先や出身地など、現在の居住地以外の地域と関わりを続ける人を指す。移住した「定住人口」や観光などで訪れた「交流人口」ではなく、その中間に位置付けられる。

