▽ロシア・ウクライナ、戦死者遺体返還と捕虜交換で合意 停戦案進展なし<ロイター日本語版>2025年6月3日午前 3:20 GMT+9

ウクライナとロシア、新たな捕虜交換を協議  2回目直接協議=ゼレンスキー氏

[イスタンブール/キーウ 2日 ロイター] – ロシアとウクライナは2日、トルコのイスタンブールで和平に向けた2回目の 直接協議を 行い、新たな捕虜交換のほか、合計1万2000人の戦死者の遺体の相互返還について合意した。ただ、ウクライナのほか欧米がロシアに受け入れを求めていた停戦案を巡る進展は得られなかった。

今回の協議は前日にロシアとウクライナが互いに大規模なドローン(無人機)攻撃を行う中実施。トルコ当局によると、協議は開始から1時間足らずで終了した。協議は約2時間遅れて開始されたが、遅延の理由について説明はなかった。

ロシア交渉団を率いたメジンスキー大統領補佐官は協議終了後、記者団に対し、完全停戦に向けロシアが提案する条件の詳細を記した覚書をウクライナ側に手渡したと述べた。また、戦死した兵士の遺体を収容するために「前線の特定区域」で2、3日間の停戦を実施することも提案したと明らかにした。ロシアとウクライナはそれぞれ6000人の戦死者の遺体を互いに引き渡すという。

また、5月にイスタンブールで行われた1回目の直接協議で合意した1000人ずつの捕虜交換に続き、一段と大規模な捕虜交換の実施でも合意したと明らかにした。

ウクライナ交渉団を率いたウメロフ国防相は、ロシアから和平合意案を受け取ったと確認。ウクライナも独自の案を作成しており、ロシアの提案を検討すると述べた。

また、ウクライナは6月末までに一段の協議を実施することを提案しているとしながらも、全ての重要な問題を解決するにはウクライナとロシアの首脳レベルの会談が必要との考えを示した。

トルコのエルドアン大統領は「ロシアのプーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領によるイスタンブール、もしくはアンカラでの会談の実現を望んでいる」とし、「同会談に米国のトランプ大統領も招待したいと考えている」と言及。「今回の協議を経て、実現に向けた措置を取っていく」と語った。

協議を受け、ゼレンスキー大統領はオンライン形式で行った記者会見で、ウクライナとロシアは新たにそれぞれ1000人の捕虜を交換することで合意したと表明。双方が交換の対象にしたい人物のリストを互いに提供することで合意したという。さらに200人の捕虜を交換する可能性もあると述べた。

このほか、ロシアが連れ去ったとされているウクライナの子どもについて、ウクライナへの帰国を求める約400人のリストをロシアに提出したと明らかにした。ロシアはこのうち10人の帰国に向けて取り組むことに同意したという。ウクライナ当局者によると、ロシア軍によってウクライナ領土から強制的に連れ去られた数百人の子どもたちの帰還をウクライナは和平合意の一環として求めている。

ロシアとウクライナは5月16日にイスタンブールで1回目の直接協議を実施。大規模な捕虜交換で合意したものの、ウクライナが要求する停戦で合意できず、両国間の隔たりを縮めることはできなかった。

▽ロ、ウクライナ停戦2案を提示 「4地域から完全撤退」など条件=報道<ロイター日本語版>2025年6月3日午前 3:42 GMT+9

[モスクワ 2日 ロイター] – ロシア国営通信社RIAは2日、ロシアの交渉担当者がウクライナに対し、2つの停戦条件案を提示したと報じた。

ロ、ウクライナ停戦2案を提示 「4地域から完全撤退」など条件=報道

1つ目は、ロシアが自国領だと主張するドネツク、ルハンスク、ザポリージャ、ヘルソンの4地域からのウクライナ軍の完全撤退開始を求めるもので、2つ目は複数の条件を「パッケージ」に盛り込んだ内容になるという。

また、ロシア国営タス通信は、ウクライナの中立化と、領土内での第三国によるあらゆる軍事活動の禁止を提案したと報じた。

関連情報

▽ウクライナ南部のロシア支配地域で大規模停電、ウ軍の攻撃で<ロイター日本語版>2025年6月3日午後 2:37 GMT+9

ウクライナ南部のロシア支配地域で大規模停電、ウ軍の攻撃で

[3日 ロイター] – ウクライナ南部ザポリージャ州とヘルソン州のロシア支配地域で、ウクライナ軍の砲撃やドローン(無人機)攻撃により広範囲で停電が発生していると、ロシアが任命した当局者が3日未明、明らかにした。

ロシアが2022年2月の侵攻直後に制圧した欧州最大規模のザポリージャ原子力発電所は影響を受けていないという。原発を管理するロシア当局者は、施設内の放射線レベルは正常だと述べた。

ロシアが任命した両州の知事は、ウクライナの攻撃を受けて当局が緊急措置を導入し、主要な施設を予備電源に切り替えたと述べた。

ロシアに任命されたザポリージャ州のバリツキー知事はテレグラムへの投稿で「ウクライナ軍の砲撃により、ザポリージャ州北西部の高電圧設備が損傷した」とし、州内の500近い集落で60万人以上が停電の影響を受けていると書き込んだ。

隣接するヘルソン州では、ロシアが任命したサルド知事が、落下したドローンの残骸で2カ所の変電所が損傷し、ロシア支配地域にある150町村の住民10万人以上が停電の影響を受けていると述べた。

ウクライナからのコメントはない。

▽北欧・中東欧、ウクライナのNATO加盟に尽力 首脳ら共同声明<ロイター日本語版>2025年6月3日午前 1:22 GMT+9