呆れるにも程があるとはこのことか。自民党の農林族、いや、コメ議員たちといったほうがいいかもしれない。米騒動の渦中で農地の大規模化などを求めた決議案をこの日(2日)、石破総理並びに小泉農水大臣に提出した。決議案の規模は総額で2兆5000億円。従来予算とは別枠だ。期間は来年度以降の5年間。年平均5000億円規模になる。提出者は財務省の意向に沿って減税断固阻止の論陣をはる森山幹事長だ。この人自民党幹事長であると同時に、党の「食料安全保障強化本部長」を務めている。農林族のドンだ。今年の4月に掲題の決議書をまとめて関係各所に配布している。その森山氏が歴代の農水大臣を伴って石破総理と小泉農林大臣を訪問。改めて決議案を提出した。テレビ・新聞のオールドメディアは連日、コメ騒動のあることないことを大々的に報じている。これを好機と思ったのだろう。参院選挙を前に農林票を目当てにアピールしたというわけだ。

決議案の中身は農家の所得向上や農業の構造転換に向けて、総額で2.5兆円を要求している。具体的には①農地の大区画化による低コスト生産の推進②スマート農業技術の導入の加速化③コメの輸出目標などを達成するための販路拡大の支援などが盛り盛り込まれている。内容に反対しているわけではない。農業の実態に通じた族議員として日頃から現場に寄り添う活動をしているのだろう。個人的に問題視しているのは、決議案を提出する前に専門家でもある族議員としてやることがあるだろう、ということだ。小泉農水大臣は昨日の国会答弁で次のように発言している。「就任10日の段階で言えることは、(農水省が)今まで見立てを誤ったことも事実。新米が出れば大丈夫と言って大丈夫ではなかった。的確でスピード感のある行政運営をしなければ不足感も払拭(ふっしょく)できない」と語った。農水省が「需給の見通しを誤った」と言っているのだ。コメ騒動の要因は単純ではない。個人的には自民党の農業政策が完全に行き詰まっていると見ている。

農水省が見誤った原因はどこにあるのか。コメ騒動の原因を究明することが何よりも大事ではないのか。それを抜きにして旧来からの発想で農地の拡大などにカネを使っても、問題解決にはならない。一時が万事自民党の政策推進プロセスは的を外している。加えて族議員の要求項目はすべからく利権に結びついているのだ。原因を解明しないまま、利権だけは堂々と追求する。生産農家も消費者も眼中にない。そういえば森山氏、5月8日に都内の料理店で石破総理と会食している。この時、財務省の意を受けて「減税は絶対に認めない」と総理に因果を含めたといわれている。影の総理と言われる所以だ。物価が上がるが賃金は上がらない。生活に窮した庶民には食べるコメもない。古古古古米に行列する庶民には目もくれず、族議員のドンとして利権を貪る森山幹事長。デイリー新調(3月9日付)は「地元・鹿児島に所有する大豪邸が、登記上存在しない“幽霊邸宅”になっている」と報じている。さて、どうする自民党・・・。