▽小泉進次郎農相の手法問題視せず 自民・森山幹事長「しょうがなかった」元農相の批判をいさめる<日刊スポーツ>6/2(月) 17:34

申し入れに訪れた自民党の森山裕幹事長(左)と小泉進次郎農相(撮影・中山知子)

 自民党の「農林族」の実力者でもある森山裕幹事長(80)は2日、農水省を訪れ小泉進次郎農相(44)と面会した。

 面会後の取材で、随意契約によって5キロ約2000円で政府備蓄米放出を進める進次郎氏の方針に、JA出身の野村哲郎元農相(81)が苦言を呈したことへの受け止めを問われると「(今回は)時間との闘いだった」して、党の農林部会に諮らずに進めた手法については「しょうがなかったんだろうと思う」と述べ、一定の理解を示した。

 森山氏はこの日、自民党の食料安全保障強化本部長として同僚議員とともに農水省を訪れ、進次郎氏と大臣室で面会。進次郎氏に対し「農業構造転換集中対策の実施に向けた緊急決議」の決議文を携え、本予算とは別枠での予算確保などについて申し入れを行った。

 進次郎氏の備蓄米放出の手法をめぐっては、野村氏が5月31日、森山氏も出席していた会合で「ほとんど自分で決めて、自分で発表してしまう。森山先生からチクリとやっていただかないと、今後心配だ」「やはり、(部会の)ルールというのを覚えていただかないといけないと思っている」などと発言し、波紋を広げている。

 報道陣から、野村氏の発言について問われた森山氏は「そのことは(今日の面会で進次郎氏と)話していない」とした上で「(スピード感をもった備蓄米放出という)当然のことを、大臣はされたと思う。農林部会に諮る必要は、時間的な余裕があればご相談があると思うが、今回は時間との闘いでしたので、しょうがなかったんだろうと思います」と、述べた。

 進次郎氏は野村氏の指摘に対し、1日、「ひとつひとつを党に諮らなければいけないとしたら、スピード感を持って大胆な判断はできない」と反論。自身は農林部会長を務めた経験があり「ルールは存じているつもりだ」とした上で「今回は緊急事態。(党の部会で)じっくり議論をいただいた上でないと動けないのなら、この結果は出せない」と語っていた。

関連情報

▽小泉農水相「今まで見立てを誤っていたことも事実」 コメ供給で答弁<朝日新聞デジタル>2025年6月2日 11時16分

 石破茂首相は2日午前の参院予算委員会の集中審議で、週内にコメの安定供給に関する関係閣僚会議を立ち上げる考えを示した。自民党の北村経夫氏の質問に答えた。

 会議は、首相を議長とし、林芳正官房長官や小泉進次郎農林水産相ら関係閣僚が加わる。首相は予算委で、「安全保障は軍事だけで成り立っているのではない。食料、エネルギーはどうなんだという自民党の認識を踏まえ、政府として議論していく」と述べた。林官房長官は2日午前の記者会見で「米価高騰の要因と、今般の対応の検証を行う必要がある」との考えを示した。

 一方、立憲民主党の石垣のりこ氏は、食料確保や農地維持のための生産者への直接支払制度の導入を要求。これに対し首相は「全て補償していくと構造政策が成り立たない。要は、納税者の負担に資する補償のあり方とは何なのかだ」と述べるにとどめた。

 石垣氏はさらに「少なくとも3年連続、生産量より需要実績が上回っていた」と指摘。小泉農水相は「就任10日の段階で言えることは(農水省が)今まで見立てを誤ったことも事実。新米が出れば大丈夫と言って大丈夫ではなかった。的確でスピード感のある行政運営をしなければ不足感も払拭(ふっしょく)できない」と語った。

▽自民、農地大規模化などに2.5兆円要求 コメの生産コスト減に向け<朝日新聞デジタル>2025年6月2日 20時25分

小泉進次郎農林水産相(中央)に緊急決議を申し入れる自民党の森山裕幹事長(左から2人目)ら=2025年6月2日、農水省、鈴木春香撮影

 自民党は2日、農業の生産性向上のために今後5年間で事業規模2兆5千億円の対策を求める緊急決議を政府に提出した。コメの生産コストを下げるための農地の集約などが柱となる。通常の予算とは別枠で、1兆3千億円の国費投入を求めている。

 森山裕幹事長ら担当者が、石破茂首相、小泉進次郎農林水産相にそれぞれ要望した。高騰が続くコメについて、農地の大規模化などで生産コストを下げることが長期的な対策だと主張した。

 政府は2025~29年度を農業構造転換の集中期間としている。自民は、この間に実施すべき項目として、

▽農地の大区画化などの整備に約8千億円
▽老朽化が進む共同利用施設の再編・集約化に約9千億円
▽スマート農業技術や新品種の開発に約7千億円
▽輸出拡大のための取り組み支援などに約2千億円の事業が必要だとした。

 森山氏は面会後、「コメは輸出できるコストで作れるようにすることが大事だ。(今は)残念ながらコストがかかっている」と記者団に述べ、大規模化の重要性を訴えた。(鈴木春香)

▽農家の所得向上へ 約2兆5000億円予算確保を 自民 森山幹事長ら<NHK>2025年6月2日 22時16分 

今後の農業政策のあり方をめぐり、自民党の森山幹事長らは、農家の所得向上に向けて、今後5年間でおよそ2兆5000億円の予算を確保し、農地の大区画化を進めることなどを求める決議を石破総理大臣に提出しました。

2日は自民党の「食料安全保障強化本部」の本部長を務める森山幹事長をはじめ、農林水産大臣経験者らが総理大臣官邸で石破総理大臣に党の緊急決議を手渡しました。

決議は、ことし4月にコメの輸出量について、2030年には現状の7.5倍に当たる35万3000トンまで増やすなどとした今後5年間の農業政策の基本計画が決まったことを踏まえ、党の要望事項をまとめたものです。

この中では、国内の農業従事者が今後もさらに減ることが見込まれることから「今、動かなければ手遅れになる」と指摘しています。

そして、農家の所得向上や農業の構造転換に向けて、今後5年間で従来の予算とは別枠でおよそ2兆5000億円を確保し
▽農地の大区画化による低コスト生産の推進や
▽スマート農業技術の導入の加速化
それに
▽コメの輸出目標などを達成するため、販路拡大の支援などを盛り込んでいます。

森山氏らは小泉農林水産大臣にも申し入れました。

このあと、森山氏は記者団に対し「石破総理大臣は農林水産大臣経験者で、予算についても理解いただけたのではないか。コメは広い農地で耕作できるようにし、スマート農業を進めていけば輸出がさらにできる」と述べました。

森山幹事長 小泉農相を擁護

小泉農林水産大臣が、随意契約で備蓄米を売り渡す方針を党の農林部会に諮らず決めたことについて、自民党の野村元農林水産大臣は5月31日に、「ほとんど自分で決めて自分で発表してしまう。ルールというものを覚えていただかないといけない」などと批判しました。

これについて、自民党の森山幹事長は2日午後、小泉大臣と面会後、記者団に対し、「コメ離れが起きてはならず、緊急に対応しなければならなかったので、大臣は当然のことをしっかりやってもらった。党の農林部会に諮る時間的な余裕があれば相談があるだろうが、時間との戦いなのでしかたなかった」と述べ、小泉大臣を擁護しました。

そのうえで、「与党である自民党の農林部会との連携は非常に大事だと思う。小泉大臣本人が農林部会長をしていたので、連携は何ら心配していない」と述べました。