厚生労働省は4日、2024年の人口動態統計(概数)を発表した。新生児の出生者数は68万6061人で、前年比4万1227人減少した。初めて70万人を下回った。減少は

9年連続。この結果日本の総人口1億2380万2000人(2024年10月1日現在、外国人含む)となった。日本人だけでカウントすればその数は1億2092万6000人となる。外国人を含む総人口の減少は14年連続。昨年は初めて80万人を下回った。2年連続の台割れである。こうなると出生者数は指数関数的に減少する。毎年大割れが起こるとすれば、6年後に日本の出生者数は10万人を割り込むことになる。いくらなんでもそれはないだろうとも思う。だが、庶民に比べ日本の政治家には、与野党を含めて人口減少への危機感がほとんどない。夫婦別姓問題も重要だが、与野党あげて少子化をどうやって食い止めるか、具体策の検討を急ぐべきではないか。

日本で長年にわたって問題提起されながら解決策が見つからない重要課題がいくつかある。最たるものは拉致被害者の救出だろう。詳細は省くとしても、国家の主権が侵害された問題にもかかわらず政府も与党も、もっと言えば野党も国民もこれといった解決策を提起していない。被害者家族、とりわけ親世代で唯一生存している横田早紀江さんがかわいそうだ。これに次ぐのが出生者数の減少だ。一人の女性が生涯に産む子供の数を子合計特殊出生率と呼ぶが、これが昨年は1.15まで低下した。9年連続の低下である。一人の女性が生涯に産む子供の数は1.15人ということだ。政府も与党も野党も、長年にわたったこの問題に取り組んできた。その詳細を全て承知しているわけではないが、前政権も大上段に構えて少子化対策を叫んでいた。にもかかわらずこの体たらく。年金改革ではないが連立与党と野党第1党が組んだステルス増税は、静かに着実に進行している。それに引き替えこちらは如何ともし難い。

庶民の無責任ではもはや済まないだろう。なにもできないなら、せめてカネで解決する方策はどうだろう。国家として祝い金を出す。結婚祝いとして500万円。第1子誕生で1000万円、第2子以降は2000万円。未婚者にも出す。財政負担がどのくらいになるか、庶民には計算できない。だが、仮にこれで出生率が爆上がりして、国家財政が破綻したとしても構わないではないか。現状をチマチマと“改善”してみたところで、国家財政が破綻に向かう道筋に変化はない。ならばレーガノミクスだ。「減税すれば税収が増える」、の逆転の発想だ。財政を無視して徹底的に少子化対策を講じる。拉致問題も「カネはいくらでも出すから被害者を返せ」と、真正面から条件付きの首脳会談を提案する。日本の政治家に優位性があるとすればカネだ。裏金づくりではない。正々堂々と大金を使う政策に打って出るのだ。波及効果が巻き起こるかも。なんとなれば日本は世界最大の資産大国だ。カネは使うと新たなカネを生み出すはずだ。