G7首脳会議を前に国際情勢が緊迫している。イスラエルがイランの核関連施設や石油関連施設を標的にした武力攻撃に打って出た。16日に予定されていた米国とイランの協議は中止され、ドイツのワデフル外相はフランス、英国とともにイランの核開発を巡り同国と直ちに協議を行う用意があると表明した。石破総理はカナダに向けて出発する前に記者団に対して、トランプ大統領との会談について「調整中」としながらも、「日米双方にとって利益になるような合意が実現するように、最大限の努力をしていきたい」と語った。緊迫する中東情勢については特に発言はなし。国際的な影響力のない日本の総理としては「沈黙は金なり」か。それもまた賢明な対応かも。トランプ関税をめぐってG6と米国の間に武力なき経済戦争が続いている。G7首脳会議の存在意義が問われる事態だ。
カナダ政府は、うちなる経済戦争に配慮して首脳会議の共同声明は見送る方針だと伝えられている。それも致し方ないだろう。だが、中東情勢の緊迫化についてはどう対応するのだろうか。トランプ大統領はイスラエルによるイランへの攻撃を事前に通告されていた。その上で米国の介入をとりあえず控えているようだ。ロイターはイランの最高指導者ハメネイ氏の暗殺計画を、トランプ氏は「却下」したと伝えている。イスラエルのイラン攻撃直後には、ロシアのプーチンとも電話会談。プーチンがイ・イ両国の仲介役を申し出るとトランプ氏は、「自分の戦争も中止せよ」と迫ったやに報道されている。この辺がトランプ話術の巧妙なところか。プーチンに仲介者としての資格ありや、なしや。個人的にはないと思うのだが、国際政治を司る指導者たちの常識というのは、どうやらわれわれ庶民の感覚とは違うようだ。
国際政治はともかく、わが石破総理はG7首脳会議で得点を稼げるか。今回のG7首脳会議はカナダだ。ロイターは「トルドー時代の2018年に主催したサミットでは、トランプ氏がトルドー氏の姿勢に不満を表明して途中退席した」と伝えている。今回はカーニー首相の主催。主催者が替わっても両国間には様々な難問が存在する。大統領が再び退席する可能性だってある。それ以上に石破・トランプ関係は大丈夫か。赤沢関税担当は毎週のように訪米している。にもかかわらず交渉はまったく進展していない。そりゃそうだ。多くの国は「アメリカの利益」を優先しながら、自国の利益を守ろうとしている。日本は「双方の利益」(石破総理)を追求している。関税交渉は元々大赤字の米国をどのようになだめるかという交渉だ。「双方の利益」という枠をはめられて、赤沢交渉担当は「格下」どころか、子どもの使いにもなっていない。果たして首脳会談の結果は・・・。
