▽日米関税「サミット合意」は見送り、首脳会談でも隔たり-継続協議へ

梅川崇

  • 「一致していない点残る」、合意時期の明言は困難-石破首相
  • 自動車は「本当に大きな国益」、日本として最善の努力重ねる
トランプ米大統領と会談する石破首相(16日、カナダ・カナナスキス)
トランプ米大統領と会談する石破首相(16日、カナダ・カナナスキス) Source: Japan’s Cabinet Public Affairs Office

カナダを訪問中の石破茂首相は16日午後1時(日本時間17日午前4時)、トランプ米大統領と首脳会談を行った。日本側は今回の会談での合意を模索していたが、双方の溝は埋まらず、協議継続を確認するにとどまった。

  両首脳は主要7カ国首脳会議(G7サミット)が開かれているカナダ西部のカナナスキスで約30分間会談した。石破首相は会談後、記者団に対し「双方の認識が一致していないという点が残っており、パッケージ全体としての合意には至っていない」と説明。担当閣僚に対し、「さらに協議を進めるよう指示をすることで一致した」と話す一方、合意を目指す時期について明言することは「困難だ」とした。

Trump and Ishiba
首脳会談を行うトランプ米大統領と石破首相(日本時間17日午前4時・カナダ西部カナナスキス)Source: Japan’s Cabinet Public Affairs Office

  サミットに合わせた首脳会談での合意は早くから意識されており、対米交渉を担う赤沢亮正経済再生担当相がその可能性に言及する場面があった。特に基幹産業である自動車への関税で譲歩を引き出せるかに注目が集まっていた。石破首相は協議の進ちょく状況など具体的な内容は明らかにしていないが、夏の参院選を前に日米合意による外交成果をアピールすることはできなかった。

  赤沢再生相とベッセント財務長官らとの協議では、議論の進展が確認される一方で、合意に向けた一致点が見いだせない状況が続いていた。自動車には4月以降25%の追加関税がかけられており、長期化すれば業界への影響は大きい。石破首相は「自動車は本当に大きな国益」とし、「われわれとして最善の努力を重ねていくことに尽きる」とした。

  自動車や鉄鋼などへの分野別関税のほか、米国は輸入品全てに基本税率10%をかけ、貿易相手国ごとに異なる税率を上乗せする仕組みを導入している。現在は上乗せ部分が一時停止されているが、7月上旬に猶予期限を迎えると、対日本の税率は24%となる。一時停止期間の延長を勝ち取れるかどうかも焦点だったが、石破首相はこの点が会談で話題になったかは「申し上げられない」と述べるにとどめた。

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