都議選の開票結果が判明した。自民党が大敗し、小池知事率いる都民ファーストが31議席を獲得して第1党に返り咲いた。第1党といっても議席を増やしたわけではない。自民党が有権者に見放された結果、第1党に繰り上がったに過ぎない。支持率急落の国民民主党は9議席獲得、逆風の中ではまずまずの結果か。参政党は3議席。候補者4人擁立で3議席、大きな勝利を手にした。今後の躍進に夢を繋いだと言っていいだろう。れいわ新選組、日本維新の会、再生の道は議席獲得できず。裏金疑惑の自民党の大敗は当然としても、その自民党と国政で連立を組む公明党が3議席減の19議席を獲得したことは、改めてこの党のしぶとさを証明した。各党各様、悲喜交々。勝者も敗者もなき結果だったのかもしれない。立憲民主党が2議席伸ばして17議席獲得したものの、勝者と呼ぶには遠く及ばない結果だ。

石丸伸二氏率いる再生の道が議席を獲得できなかったことが、今回の都議選の意外な結果だと言えるかもしれない。主要メディアの事前予想にも獲得議席ゼロとの予想があった。メディアの報道も総じて当てにならないが、それでもこの党の議席ゼロは的中した。選挙公約もなく、候補者の任期は2期8年という縛りがあるだけの政党。石丸流の政治手法が今回は有権者の評価につながらなかった。日本の通常選挙では突飛な政党は受け入れられないのだろう。石丸氏はこの先、何をどう主張するのだろうか。昨年の都知事選で打ち出した「東京一極集中の是正」という公約は、どうして今回掲げなかったのだろう。この人の政局対応にも大きな疑問符が付いた。再生の道は再生できるのか、この先も各種選挙は続く。石丸氏は大きな試練に直面することになった。維新が議席を失うのはある意味で理解できる。自民党寄りの姿勢が際立っている。この党もこれから先、国民政党としての資格が問われることになる。

今回の都議選では小池与党(自公都ファ)は過半数を維持した。獲得議席数は前回の86から71へ15議席減らしたものの、過半数の64議席は上回っている。小池与党はこれだけでも安泰だが、これに国民民主の9議席が加われば安定多数が実現する。その意味ではこの先国民民主の対応が問われることに。山尾志桜里氏の公認をめぐる支持率急落よりも、学歴詐称疑惑を抱える小池氏との関係がこれからはより重要になるかもしれない。側聞するに小池氏は依然として国政復帰への願望が強いといわれる。来るべき参院選挙の結果がどうなろうと、自公政権が小数与党であることに変わりはない。個人的には現行都政はあまり評価していないが、永田町の政局が不透明感を増すにつれて小池氏の出番が大きく膨らむ可能性もある。その意味で今回の都議選は小池氏関与の可能性を高めたのかもしれない。理念なき小池氏、本当にしたたかだ。