▽イラン、米は核拡散防止条約に「回復不能な打撃」与えた-施設攻撃で

Jonathan Tirone、Golnar Motevalli

  • 米の攻撃はNPT枠組みが無効であることを示した-ナジャフィ氏
  • IAEA事務局長、濃縮ウランの所在巡りイランに情報提供を要求

イランは同国の核施設に対する週末の米国の攻撃について、核拡散防止条約(NPT)に「回復不能な打撃」を与えたと指摘した。

  国際原子力機関(IAEA)のイラン代表を務めるレザ・ナジャフィ氏は、米国の攻撃を「侵略行為」と非難し、「国際的な不拡散体制に根本的かつ回復不能な打撃を与え、現在の核不拡散防止条約(NPT)枠組みが無効であることを決定的に示した」と述べた。

Iran’s IAEA envoy Reza Najafi in Vienna on June 23.
IAEAのイラン代表を務めるレザ・ナジャフィ氏Photographer: Joe Klamar/AFP/Getty Images

  ナジャフィ氏は、イランがNPTからの脱退を検討しているかどうかについては言及しなかった。脱退した場合、IAEAはイランの核施設を査察する権限を失う可能性が高い。

  イランの核施設に対する攻撃について議論するため、IAEAは23日に会合を開催。ナジャフィ氏はこの会合の場で発言した。

  IAEAのグロッシ事務局長は、イランが保有する濃縮ウランの所在を現時点で誰も把握していないと改めて述べた上で、同国に情報の提供を要求した。

  グロッシ氏は、「イランは保護措置の協定に基づき、核物質を国内の保護された施設から別の場所へ移動させる場合、IAEAに申告することが義務付けられている」と説明。「査察チームが現場に入り状況を評価できるよう、安全と治安の確保のために戦闘行為を停止する必要がある」と付け加えた。

  イランの議会は22日、米国による攻撃への対応としてNPT脱退の可能性を巡り審議を行った。脱退を正式に決定する場合、同国の国家安全保障最高評議会および最高指導者ハメネイ師による最終判断が必要になる。

原題:Iran Says US Caused Irreparable Harm to Treaty on Nuclear Arms(抜粋)