▽イランの報復に米警戒、攻撃から一夜明け 「体制転換」にトランプ氏言及<ロイター日本語版>2025年6月23日午前 11:30 GMT+9

Phil StewartIdrees Ali

イランの報復に米警戒、攻撃から一夜明け 「体制転換」にトランプ氏言及

[ワシントン 22日 ロイター] – 米軍のイラン核施設攻撃から一夜明けた22日、米政権ではトランプ大統領がなぜイランで体制転換が起きないのかと疑問を呈する投稿を行ったほか、高官はイランに報復しないよう警告した。

トランプ氏は自身のソーシャルメディアに「『体制転換』という言葉を使うのは政治的に正しくないが、もし現在のイランの体制が『イランを再び偉大に(MAKE IRAN GREAT AGAIN)』することができないのであれば、なぜ体制転換が起きないのだろうか???MIGA!!!」と書き込んだ。 もっと見る

投稿に先立っては、バンス副大統領やヘグセス国防長官ら政権幹部がイランの体制転換のために行動したのではないと強調していた。

ヘグセス氏は記者会見で「今回も、これからも体制転換を目的とすることはない」と明言。一方、イランが示唆する報復攻撃について、実行に移すべきではないと警告した。 もっと見る

バンス氏はNBCのインタビューで「われわれはイランと戦争をしているのではない。イランの核開発計画と戦争をしている」とし、「事態を長引かせたくはない。核開発を終わらせ、長期的な解決策についてイラン側と協議したい」と語った。 もっと見る

米軍制服組トップのケイン統合参謀本部議長によると、「ミッドナイト・ハンマー」と名付けられた作戦には地中貫通弾(バンカーバスター)14発のほか、トマホーク巡航ミサイル20発以上、また軍用機125機余りが投入された。B2爆撃機7機が米国からイランに18時間かけて飛行、バンカーバスターを投下したという。

<施設への被害>

ケイン氏は初期の被害評価で核施設3カ所全てが極めて深刻な被害を受け、破壊されたとの分析も示した。ただ、イランの核能力が残っているかどうかは推測を控えた。

専門家は商業衛星画像からフォルドゥの地下核施設と遠心分離機が深刻な被害を受け、破壊された可能性もあるとの見方を示す一方、確認はできていないと述べた。 もっと見る

元国連核査察官のデービッド・オルブライト科学国際安全保障研究所所長は「大型貫通爆弾(MOP)で突き抜けた」とし、「施設はおそらく破壊されただろう」と述べた。

しかし、CNAコーポレーションの衛星画像専門準研究員デッカー・エベレス氏は、地下の破壊については確認できていないと指摘。数百台の遠心分離機が設置された空間は「あまりに深い場所にあるため、衛星画像を基に被害の程度を評価することはできない」と述べた。

イランは今回のような攻撃から身を守るため、核施設の多くをフォルドウの山岳地帯を含む地下深くに埋設している。

衛星画像には地中貫通弾(バンカーバスター)が山を貫通したと思われる6つの穴が写っている。

トランプ氏はイラン核施設への最大の損害について、地下深部で発生したとの認識を示した。

<地域の米軍保護強化>

米軍による核施設攻撃に対し、イランはイスラエルに向けたミサイル攻撃で応じた。テルアビブでは多数の負傷者が出たほか、建物が倒壊した。 もっと見る

米国土安全保障省は「米国における脅威の高まり」を警告した。 もっと見る

イランはこれまで、米軍基地への攻撃や世界の石油供給遮断といった米国に対する報復の脅しを実行に移していないが、こうした状況は続かないかもしれない。

イランのアラグチ外相はイスタンブールでの会見で、報復への選択肢を検討しており、これを実行した後に外交による対応を考慮すると指摘。「米国は国際法を尊重しておらず、脅迫と武力という言葉しか理解していない」と非難した。

ケイン氏は、米軍はイラクやシリアを含むこの地域の部隊保護を強化したと述べた。

ニューヨークやワシントンを含むいくつかの米都市では22日午後、散発的に反戦デモが行われた。

一部の米民主・共和両党議員は、トランプ大統領によるイランへの軍事力行使を抑制し、中東紛争への米国の関与を回避するよう議会に求めた。 もっと見る

国連安全保障理事会は米国のイラン核施設攻撃を協議する緊急会合を開き、ロシア、中国、パキスタンが無条件の即時停戦を求める決議案を提示した。会合はイランが要請。同国は「この露骨かつ違法な侵略行為に対処し、可能な限り最も強い言葉で非難」するよう求めた。 もっと見る

▽米国務長官、中国にイランへの働きかけ要請 ホルムズ海峡封鎖阻止で<ロイター日本語版>2025年6月24日午前 6:21 GMT+9

Jasper Ward

米国務長官、中国にイランへの働きかけ要請 ホルムズ海峡封鎖阻止で

[ワシントン 22日 ロイター] – ルビオ米国務長官が中国に対し、イランが海上輸送の大動脈であるホルムズ海峡を封鎖しないよう促すよう求めたことが分かった。米国は21日、イランの核施設に対して攻撃を実施した。

ルビオ氏は22日に放送されたフォックス・ニュースの番組で、「中国はホルムズ海峡の石油輸送に大きく依存しているため、この件について中国政府にイランに問い合わせるよう促す」と言及。同海峡を閉鎖する動きは大規模なエスカレーションとなり、米国および他国による対応を正当化することになるとの考えを示した。

ルビオ氏の発言に先立ち、 イランのプレスTVはしたと報じていた。

▽米下院議長、対イラン軍事制限法案の採決拒否 米軍基地への攻撃始まる中<ロイター日本語版>2025年6月24日午前 6:20 GMT+9

米下院議長、対イラン軍事制限法案の採決拒否 米軍基地への攻撃始まる中

6月23日(ロイター) – ジョンソン米下院議長は23日、トランプ大統領による対イラン軍事力行使を抑制する法案の推進に向けた議員らの取り組みを退けた。イランはこの日、カタール首都ドーハにあるアル・ウデイド米空軍基地へのミサイル攻撃を実施したと発表した。

ジョンソン氏は、超党派決議案について下院での採決を認めるかどうかとの質問に対し、記者団に「今は戦争権限決議案を採決するのに適切な時期ではないと思うし、その必要性も感じない」と述べた。

共和党のトーマス・マッシー下院議員(ケンタッキー州選出)と民主党のロー・カンナ下院議員(カリフォルニア州選出)は、トランプ大統領が21日にイランの核施設攻撃を命じる数日前に決議案を提出しており、それ以降、大統領の行動には議会の承認が必要であると主張している。

マッシー議員はXへの投稿で、「われわれの戦争権限決議案には57人の共同提案者がいる。好むと好まざるとにかかわらず、議会はイランにおける米国の敵対行為について採決することになる」と述べた。

ジョンソン氏および他の共和党員らは、トランプ大統領が米国や他の諸国に対する潜在的な核の脅威を排除するため、イランに対して一方的な行動を取る権限があったと主張している。

▽イスラム諸国、イスラエル・イラン緊張緩和目指す連絡グループ設置へ<ロイター日本語版>2025年6月23日午後 1:06 GMT+9

イスラム諸国、イスラエル・イラン緊張緩和目指す連絡グループ設置へ

[アンカラ 22日 ロイター] – イスラム協力機構(OIC)は22日、イラン核施設に対する米国とイスラエルの攻撃を受け、緊張緩和に向けた取り組みを支援するため、国際社会や地域諸国と定期的に連絡を取る閣僚級連絡グループを設置すると発表した。

トルコのイスタンブールで開いた外相会合後の共同声明で、イランに対する「イスラエルの侵略」を非難。「イスラエルの攻撃を止める緊急の必要性と、この危険なエスカレーションに関する大きな懸念」を強調した。

また、国際社会に対し、イランへの攻撃に対する抑止策を講じ、「イスラエルに犯した罪の責任を取らせる」よう求めた。

共同声明では米国による夜間の攻撃に言及しなかったが、OICはイスラエルとイランの紛争に関する13項目から成る決議でも合意。その中でイスラエルと米国によるイラン核施設への攻撃を非難し、イランとの完全な連帯を示した。

決議案によると、OICはまた、国際原子力機関(IAEA)に対し、「これらの攻撃を明確に非難し、安全保障理事会に報告する」よう求め、「野蛮な攻撃」は国際法に違反していると指摘した。

イスラエルに「核拡散防止条約に遅延なく加盟し、全ての核施設と核活動をIAEAの包括的な監視下に置く」ようにも求めた。