▽イラン濃縮ウランの大半、攻撃免れた可能性=IAEA事務局長

[ウィーン 25日 ロイター] – 国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は25日、イランの高濃縮ウランの多くはイスラエルと米国の攻撃を免れた可能性があるとの認識を示した。最初の攻撃の直後に、イランによって移動された可能性があることを理由とした。イスラエルはイランとの12日間にわたる紛争中にイランの核施設を繰り返し攻撃、米軍は週末にイランの地下核施設を爆撃したが、濃縮ウランの備蓄への被害は不明。
グロッシ氏によると、イランはイスラエルによる攻撃の初日である6月13日、核拡散防止条約(NPT)で規定されたIAEAの保障措置の対象である核物質と核施設を保護するため「特別措置」を講じることをIAEAに通知した。
グロッシ氏はオーストリア政府関係者らとの記者会見で、「(イランは)それが何を意味するのか詳細には踏み込んでいないが、暗黙の意味がある。核物質がそこにあるとわれわれは考えている」と述べ、濃縮ウランの大半が攻撃を免れたと指摘。
イランの核施設に査察官を再び派遣し、米国とイスラエルによる攻撃の影響を評価し、濃縮ウランの貯蔵量を確認することが最優先事項だとした。
こうした中、イランの国会は25日、IAEAとの協力を停止する法案を承認した。政府系メディアが報じた。
イランは核兵器の開発を一貫して否定し、同国の核開発計画はあくまで平和目的であると主張。一方、IAEAは、これほど高いレベルまでウラン濃縮を行いながら核兵器を製造していない国は他にないとしているほか、西側諸国は、これには民間での正当な理由はないと主張している。
IAEAは、濃度60%まで濃縮されたウラン貯蔵のうち、兵器級となる約90%に近い量がどの程度残っているか判断する必要がある。
