▽中居氏絡みの質問わずか FMH株主総会に3364人、50人が質問 興味本位の株主も

フジテレビの親会社フジ・メディア・ホールディングス(FMH)が25日に開催した定時株主総会。会場は従来のフジテレビ本社内のホールなどと違い、収容人員が多い有明アリーナ(東京都江東区)で行われた。元タレントの中居正広氏による「性暴力」報道が出回った後に株を購入した「野次馬」的な株主も多かったとされ、参加者によれば「肩透かしを食らった総会」となったようだ。FMHによると総会への参加者は昨年の162人から20倍以上の3364人に激増。4時間28分続いた。昨年は1時間50分だった。会場では50人が質問に立ち、51件の質問が出た。動議は4件あった。
「『今後FMHとしてどうやって行くつもりなのか』と強い口調で問い質す〝攻撃的な〟やり取りがあったのは最初の数問だった。これ以上は残ってもむだかなって」。開始後約1時間ほどで退出した都内の男性会社員(35)は拍子抜けした表情で話した。中居氏のトラブル発覚後に興味本位で株を購入したが、議決への投票は行わなかった。
男性によると、質問は1人2分に限定されていた。当初はそのルールを逸脱した株主もいたが、運営側がルールを守るよう再度要請すると、株主から拍手が起こった。ほとんどの株主が淡々と質問や意見を述べ、経営陣が無難に回答する場面が続いたという。
問題の発端となった中居氏に関しての質問はわずかだったようだ。FMH側が「プライバシーへの配慮」を促したため、質問も「Nさんに損害賠償しないんですか?そうした姿勢を見せることが重要だと思うのですが」と、奥歯にものが挟まったような内容だったという。
「核心というか、突っ込んだやりとりはなくて、テレビとか新聞で見たままを繰り返している感じ。どしゃぶりの雨の中わざわざ来る必要がなかったかな」と都内の主婦(69)は語り、開始から約1時間半で会場を退出した。FMHの株主総会には初めて参加したという。
株主の質問時は会場前方に据えられたマイクまで出向いて行う必要があるため、女性は「いちいち質問するのもおっくうに思う人も多かったんじゃないか」と推察した。
女性は40年以上要職にとどまっていた取締役相談役の日枝久氏の影響力が本当に排除されたかどうかに関心があったというが、「清水賢治社長が今も日枝氏と電話で連絡を取っているか、いないかとかどうでもいいような質疑ぐらいしかなかった」と、ため息を漏らし、足早に帰路に就いた。
総会に参加した株主の50代の会社員男性は「するどい質問が出ることに期待したがまったくなく、肩透かしを食らった気分。期待外れだった」と残念そうな顔を浮かべた。
「経営刷新に向けた決意を述べていたが、これで幕引きにしたいという思いがにじみ出ている気がした」と話し、「本当に言葉通りに進めてくれるのか」といぶかしんだ。
