▽米PCE統計、実質消費支出が年初来の大幅減-物価圧力は抑制
Matthew Boesler
- 5月の実質PCE、前月比0.3%減少-市場予想は横ばい
- PCEコア価格指数、前月比0.2%上昇-予想は0.1%上昇
5月の米個人消費支出(PCE)は減少し、インフレ調整後の実質ベースでは1月以来の大幅なマイナスとなった。トランプ政権の経済政策を巡る強い不透明感が成長見通しを圧迫しつつあることが示唆された。
| キーポイント |
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| ・実質PCEは前月比0.3%減少 ・ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は横ばい ・食品とエネルギーを除いたPCEコア価格指数は前月比0.2%上昇 ・市場予想は0.1%上昇 |
PCEの減少は広範な分野に及んだ。トランプ大統領の予測不可能な貿易政策を背景に、今年に入って消費者センチメントが低下している。
インフレは今年これまでのところ落ち着いた推移が続いているが、今後数カ月に加速すると多くのエコノミストは予想している。企業が関税引き上げによるコスト増加分を価格転嫁するとの見方からだ。

前日に発表された1-3月(第1四半期)の米実質国内総生産(GDP)確報値では、個人消費が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)初期以来の弱い伸びとなった。この日のPCE統計からは、特にサービス分野への家計支出低迷が5月も続いたことがうかがえる。
輸送サービスや外食・宿泊、金融サービスのほか、旅行収支を含むその他サービスへの支出がいずれも減少した。自動車の購入は6%減。関税発効に先立つ駆け込み需要で3月と4月に急増していた。
エバコアISIのエコノミスト、マルコ・カシラギ氏は「これはあくまで1つのデータに過ぎず、賃金や給与の堅調な伸びは今後数カ月の消費支出を下支えする可能性がある。ただし前日には1-3月のGDPが下方修正された。GDPでは個人消費も従来の想定より弱かったことが示された」と指摘。「個人消費の軌道を見ると、国内需要はこれまでの想定よりも弱く、景気もそれほど底堅くないことが示唆される」と述べた。
賃金・インフレ
5月は個人所得も減少し、2021年以来の落ち込みとなった。社会保障給付の減少など、政府からの移転所得が減ったことが影響した。貯蓄率は4.5%に低下した。
名目の賃金・給与は2カ月連続で前月比0.4%増加。最近の堅調な伸びが続いていることが確認され、消費者に支出を続ける余力があることを示唆した。
コアの財価格指数は0.2%上昇。前月から伸びがやや鈍化した。住宅とエネルギーを除くコアサービス価格指数は0.1%上昇。前月は横ばいだった。
統計の詳細は表をご覧ください。
原題:US Consumer Spending Drops in May, Price Pressures Remain Muted(抜粋)
