▽ハーバード大に公民権法違反、米政権が調査を公表-ユダヤ人対応巡り

Hadriana Lowenkron

  • 意図的な無関心、反ユダヤ的嫌がらせへの加担あったと指摘
  • 学長宛に適切な改善措置求める書簡-財政支援打ち切りのリスクも

米国のトランプ政権は6月30日、ハーバード大学がユダヤ人やイスラエル人学生の扱いに関して、公民権法に違反していたことが調査で判明したと発表した。同大学の連邦資金がさらに危機にさらされることになった。

  米国政府は同日、ハーバード大のアラン・ガーバー学長宛ての書簡で「ハーバード大学は、ある事例では意図的に無関心を装い、また別の事例ではユダヤ人の学生、教職員に対する反ユダヤ的な嫌がらせに積極的に加担していた。直ちに適切な改善措置を講じなければ、全ての連邦財政支援を打ち切る」と警告した。

  トランプ大統領は、数カ月に渡るハーバード大の批判を経て、「合意が近い」と発言していたが、2週間も経たないうちに、同大への圧力をさらに強める調査結果が発表された。トランプ政権はこれまでに、ハーバード大に対する26億ドル(約3750億円)以上の連邦研究資金を打ち切り、大学の非課税資格に異議を唱え、留学生の受け入れを阻むなどの措置を取ってきた。

Harvard Dragged Deeper Into Trump's 'America First' Visa Fight
マサチューセッツ州ケンブリッジにあるハーバード大学の図書館Photographer: Cassandra Klos/Bloomberg

  書簡で、司法省のハーミート・ディロン公民権担当次官補ら政府高官は、今後検討されている追加的な財政制裁の具体的内容には言及しなかった。ただ、政府は低所得者向けの連邦奨学金や、大学院生を中心に利用されている連邦学生ローンプログラムへのアクセス制限などの制裁手段を有している。

  ハーバード大は、政府の調査結果に強く異議を唱え、ユダヤ人・イスラエル人学生がキャンパスで安心して学べる環境づくりへの取り組みを強調した。「反ユダヤ主義は重大な問題であり、いかなる状況下でも容認されない。ハーバードは、学内の反ユダヤ主義の根本原因に対処するため、実質的かつ積極的な措置を講じてきた」と主張している。

  政府の調査は「ユダヤ人学生の大多数がキャンパス内で偏見や差別を経験したと回答し、4人に1人は身体的な安全すら脅かされたと感じていた」としている。書簡では、2023年10月のイスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃と、それに対するイスラエルのガザ報復に続いて起きたパレスチナ支持の抗議活動が言及され、大学が規則を破った学生に対して十分な懲戒措置を講じなかったと非難している。

  この書簡については、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が最初に報じた。

原題:Harvard Violated Civil Rights of Jews, Says Trump Administration(抜粋)