▽トランプ氏、日本に25%関税を通告-8月1日まで3週間の交渉猶予<bloomberg日本語版>2025年7月8日 1:26 JST

照喜納明美、鈴木克依

  • トランプ大統領、石破首相宛ての書簡をソーシャルメディアに投稿
  • 4月発表時より1ポイント高い水準、日本が報復なら一段と引き上げ

トランプ大統領は米東部時間7日、日本からの輸入品に25%の関税を賦課すると発表した。4月に発表した税率を1ポイント上回る水準だ。発効日は8月1日で3週間ほどの猶予期間が与えられた。

  トランプ氏は石破茂首相に宛てた書簡のコピーを自身のソーシャルメディア、トゥルース・ソーシャルに投稿。書簡の中で「8月1日から、米国に入るあらゆる日本製品にわずか25%の関税を課す。セクター別の関税はこれとは別になる」と説明。

  「貿易赤字の不均衡をなくすのに必要な関税に比べれば、25%という数字ははるかに低いことを理解してもらいたい」と主張した。

  「日本や日本企業が米国で生産するなら関税はなくなる。承認が数週間で得られるよう全力を尽くす」とする一方で、日本が米国に対する関税を引き上げるなら、25%の関税率を一段と引き上げる意向も示した。

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  ホワイトハウスのレビット報道官は会見で、およそ12カ国・地域が7日に大統領から直接書簡を受け取る見通しを示した。

  また、トランプ氏が最初に日本と韓国を標的にした理由を問われると、「大統領の特権だ」とした上で、「大統領が選んだのが両国だった」と続けた。

  発表を受けて、円は対ドルで一時1%余り下落。日本の自動車メーカーの米国預託証券(ADR)も売られた。トヨタ自動車のADRは4%安、 ホンダは3.9%安で引けた。

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  トランプ政権は4月、日本に対して基本税率の10%に加え、14%の上乗せ税率を加えた合計24%の関税を課すと発表。9日が同関税の一時停止期限だった。

  今回の発表で税率は1ポイント引き上げられた。日本政府には発効まで3週間程度の猶予期間があり、今後の対応が焦点となる。7月20日には参院選の投開票も控えている。

  米関税措置を巡る交渉を担う赤沢亮正経済再生相は、これまでに7回訪米し、米国の交渉担当者と協議を進めてきた。3、5両日にはラトニック商務長官と電話会談を行い、日米の立場を改めて確認。引き続き米側と精力的に調整を続けていくと発表した。

  一方、ベッセント財務長官は6日、FOXニュースの番組で、日本は素晴らしい同盟国だとの認識を示した上で、日本側が話す内容の多くは立法措置を必要としているため、参院選の結果を見る必要があるかもしれないと述べていた。

  米国は日本からの自動車や自動車部品に対して25%、鉄鋼・アルミに50%、全ての輸入品に対しては10%の基本税率を課している。トランプ大統領は1日、「30%や35%」といった関税率を挙げ、「日本と合意できるとは思えない」と発言。米国産コメの輸入を受け入れていないとして日本への批判を強め、自動車貿易についても不公平だと指摘していた。

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原題:Trump Announces Set of Tariff Rates With New August Deadline (3)(抜粋)

▽トランプ関税通知、韓国・タイ25%やラオス40%など-EU予定なし<bloomberg日本語版>2025年7月8日 4:52 JST

Josh Wingrove、Catherine Lucey

  • セクター別関税は別と説明、報復ならその分25%関税に上乗せと警告
  • 市場開放や米国での生産拡大を通じて発動を回避する手段も明記

トランプ米大統領は7日、予告していた関税通告の第1弾を発表した。公表された書簡によると、8月1日から適用する関税率は日本と韓国、マレーシア、カザフスタン、チュニジアが25%、南アフリカ共和国が30%、ラオスとミャンマーが40%とされた。

  主要輸出国である日韓などは、市場開放や米国での生産拡大を通じて、追加関税の発動回避に向けた3週間の猶予が与えられた形となる。

  上乗せ関税の一時停止措置が期限を迎える9日を前に、これら各国はトランプ氏が予告していた関税書簡を米国の貿易相手国・地域の中で最初に受け取った。

各国に対する関税率
25%=日本、韓国、マレーシア、カザフスタン、チュニジア
30%=南アフリカ共和国、ボスニア
32%=インドネシア
35%=バングラデシュ、セルビア
36%=タイ、カンボジア
40%=ラオス、ミャンマー

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  トランプ氏はこれらの書簡に、「われわれの関係は残念ながら相互的とは程遠い」と記した。

  ホワイトハウスのレビット大統領報道官は記者会見で、7日におよそ12カ国・地域が大統領から直接書簡を受け取るだろうと説明。その後数日にかけて追加の書簡が送付されるとした。

  トランプ氏は4月に日本に対して24%、韓国には25%の上乗せ関税を課す方針を表明。その後、交渉時間を与えるため、9日までの90日間は発動を見送るとし、基本の一律10%の関税に低減していた。

  しかし、交渉は短期間では進展せず、トランプ氏は7日、期限を米東部時間8月1日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)まで再延長する大統領令に署名した。

  この延期措置は、書簡を受け取った国・地域に限らず、上乗せ関税の対象となっている全ての国・地域に適用される見通しだとレビット報道官は述べた。

  またトランプ氏は今回の措置に関して、報復しないよう警告。書簡で「もし何らかの理由であなた方が関税を引き上げるのであれば、その引き上げ分を25%に上乗せして課す」と記した。

  さらに25%の関税について、すでに導入済み、および今後導入予定のセクター別関税とは別だともトランプ氏は説明した。日韓は主要な自動車輸出国であり、米国は両国の鉄鋼製品にも関税を課している。

  一方で、書簡にはトランプ氏の要求を満たす手段も明記された。「仮に日本か韓国、または両国の企業が米国内で製品を製造する決定を下すのであれば」、関税は賦課しない考えを表明。当局による承認についても迅速に対応し、数週間以内に完了させると述べた。

  なぜ日本と韓国が最初に通知されたのかとの質問に対し、レビット氏は「それは大統領の裁量」だと説明。「大統領が選んだのが両国だった」と続けた。

  レビット報道官はまた、一部の貿易相手国・地域との間で合意に「近づいている」と述べ、「トランプ氏は可能な限り最良の取引を実現したいと考えている」と付け加えた。 

  欧州連合(EU)は、現時点では関税率の通告を見込んでいないと、事情に詳しい関係者が明らかにした。

市場は嫌気

  トランプ氏の発表を受けて、米国株式市場は下落。S&P500種株価指数は0.8%安、ナスダック100指数も0.8%下落して取引を終えた。シカゴ・オプション取引所のVIX指数は一時18近くまで上昇。テクノロジー株の予想変動率を示す指標は2週間ぶりの高水準となった。米国債相場は下落し、期間が長めの国債の下げが目立った。

  外国為替市場ではドルが対主要通貨で1週間ぶりの高値を記録。円は対ドルで146円台に下げ、一時1.2%安の146円23銭付近と、日中としては6月23日以来の安値をつけた。南ア・ランドも対ドルで1.5%下落した。

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  トヨタ自動車の米国預託証券(ADR)は一時4.3%安、ホンダのADRは3.9%安とそれぞれこの日の安値となった。

原題:Trump Announces Set of Tariff Rates With New August Deadline (3)
Trump Announces Set of Tariff Rates With New August Deadline (1)
Trump to Levy 25% Tariffs on Japan, South Korea in August (3)(抜粋)

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