▽米PPI横ばい、サービスが下押し-製造業は価格転嫁に慎重姿勢

Vince Golle

  • 6月PPIは前月比横ばい、前年比2.3%上昇で共に予想下回る
  • PPIは追加関税分の顧客への転嫁を巡る製造業者の慎重姿勢を示唆

米生産者物価指数(PPI)は6月、前月比で横ばい。旅行関連のサービス価格が大幅低下し、財価格上昇の影響を相殺した。

キーポイント
・PPI(最終需要向け財・サービス)は前月比横ばい
 ・エコノミスト予想の中央値は0.2%上昇
 ・前月は0.3%上昇(速報値0.1%上昇)に上方修正
・前年同月比では2.3%上昇
 ・市場予想は2.5%上昇
 ・前月は2.7%上昇(速報値2.6%上昇)に上方修正

  食品とエネルギー、貿易を除いたPPIコア指数も前月比横ばい。前年同月比では2.5%上昇と、2023年遅く以来の小幅な伸びとなった。

  前日発表された6月の米消費者物価指数(CPI)では、関税が家具や家電、玩具などさまざまな分野に波及し始めていることが示された。今年これまでのところインフレは穏やかに推移しているが、貿易コスト上昇の相殺に動く企業が増えるにつれてインフレ圧力は徐々に強まると、多くのエコノミストは予想している。

関連記事:米コアCPI、またも予想に届かず-関税転嫁の動きも一部に (3)

  今回のPPIは、米国による関税引き上げ分を顧客にどの程度転嫁できるかについて、製造業者が今のところ慎重姿勢を取っていることを示唆している。データによれば、5月に急上昇した卸売業者と小売業者の利益率は、6月には横ばいとなった。

  食品とエネルギーを除いた財の価格は0.3%上昇した。エネルギー価格は上昇。発電用の天然ガス価格は3年ぶりの大幅な伸びとなった。

  一方でサービス価格は0.1%低下。米労働統計局によれば、この低下分の半分以上は、旅行者向け宿泊サービスでの4.1%低下が影響した。航空旅客サービスは2.7%低下し、24年5月以来の大幅な下げとなった。

インフレ見通し

  エコノミストがPPIを注視するのは、カテゴリーの一部が米連邦準備制度理事会(FRB)が重視するインフレ指標である個人消費支出(PCE)物価指数の算出に使用されるためだ。航空運賃などが含まれるそれらのカテゴリーは6月、強弱まちまちな内容だった。

  ポートフォリオ管理手数料は上昇。株価の上昇が反映された。医療関連のカテゴリーは総じて落ち着いた内容だった。

  CPIと同様、PPIでも関税に起因したインフレが示唆された。消費者向け耐久財の価格は0.4%上昇。5月も0.5%上昇しており、2カ月の伸びとしては約3年で最大となった。

  生産過程における比較的早い段階での物価を反映する中間財の価格は小幅に上昇。原材料価格は4カ月ぶりに上昇した。

  統計の詳細は表をご覧ください。

原題:US Producer Prices Stagnated on Decline in Services Costs(抜粋)