参院選の投開票日を前に日本の株価が急騰している。石破総理の支持率低下、自公の過半数割れ懸念、これにともなう政局の先行き不安、進展のない関税問題、物価のさらなる上昇、債券市場では長期国債の利回りが急激に上昇しているなど、足元には悪材料、懸念材料が山積している。そんな中で株価だけが急騰している。昨日の日経平均の終値は前日比237円79銭高の3万9901円だった。夜間取引では4万円を上回っている。参院選前の最後の取引となる今朝の日経平均は、始値が前日終値比65円安の3万9870円だった。このあとどうなるかわからないが、参院選での与党惨敗はすでに織り込み済みのようだ。いやむしろ、石破政権の過半数割れ見通しが強まるごとに株価が上昇している。総理が早期退陣すれば、景気も庶民の暮らしも良くなる。市場はそれを期待しているのかもしれない。
Bloombergによるときょうの相場展開は、「日本株続伸へ、米小売売上高が堅調示す-輸出や金融に業績期待の買い」と展望している。ただし、「20日投開票の参院選を直前に控え、リスクを減らす持ち高調整売りも出やすく、主要株価指数の上げは小幅にとどまる見通しだ」と抑制気味だ。自公の過半数割れが懸念される状況にある。普通ならポジション調整の売りが先行しそうだが、むしろ石破総理の退陣に期待を寄せているかのようだ。マーケットの雰囲気もだいぶ変わっているのだろう。それはともかく、なぜ株価は高いのか。最大の要因は円安が進んでいるせいだ。現時点(10時32分現在)で円相場は1ドル=148円台半ばで推移している。6月の消費者物価指数(CPI)、小売売上高など米国の経済指標が比較的堅調に推移しており、トランプ関税にともなうインフレへの影響も事前予想より軽くなりそう。これがドル高を後押ししている。
おまけにトランプ氏を揶揄するかのように喧伝されているTACO論議が、投資家の買いを煽っている。Trump Always Chickens Out(トランプはいつも尻込みする)、これが市場に安心感おもたらしている。8月1日に設定された関税開始の最終期限が再び延長されることはないのか、すべてはTACO氏の判断一つ。再延長されれば関税交渉を理由にゾンビ化した石破総理の続投もありえるかも。その時市場は急落するのだろうか。25%の関税は日本経済に重くのしかかはずだ。それを無視して急騰する株式市場。外国人投資家主体で、米国の株高を写しているといえばそれまでだが、先行指標としての役割は果たしているのだろうか。トランプ政権の登場でグローバリズムの潮流は大きな変化に直面している。コンサルタントの齋藤ジン氏は「これこそが日本復活のチャンス」と強調する。ひょっとすると株価はそれを先取りしているのだろうか・・・。
